タイトル |
施設園芸向け複合環境制御ロジック開発ツール |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター |
研究期間 |
2016~2018 |
研究担当者 |
黒崎秀仁
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発行年度 |
2018 |
要約 |
UECS規格に対応したセンサや制御対象間のデータの流れをユーザーが編集し、スクリプトを記述することで複合環境のロジックを作成するソフトウェアである。初心者モードでは選択肢を選ぶだけで簡単にロジックを作成できる。
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キーワード |
施設園芸、複合環境制御、ロジック開発、初心者モード、UECS
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背景・ねらい |
日本の施設園芸は作物や栽培技術に地域ごとの独自性があり、独自の環境制御手法を実現したいというニーズがある。このように多様な地域ごとの要求に対して、専門のソフトウェア技術者を動員して、独自の複合環境制御装置の開発を行うのはコストがかかり、また、常にソフトウェア技術者を介在させなければ新しい環境制御技術の開発が行えないことが制約となっている。そこで、施設園芸向け機器の共通規格であるUECSを活用し、ソフトウェア開発を専門としないユーザーでも簡単な操作で複合環境制御のロジックを作成できるソフトウェアを開発して多様な環境制御手法を柔軟に実現できるようにする。
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成果の内容・特徴 |
- このソフトウェアはWindows PC上で動作し、センサ、制御対象(モーター、リレー、電磁弁などのアクチュエータ)、スクリプトのアイコンを画面上に配置して結線することでデータの流れを作成できる(図1)。
- ユーザーはスクリプトを記述することで、複数のセンサのデータから条件判定を行い、制御対象に指令を送ることができる。選択肢を選ぶだけでスクリプトを作れる初心者モード(図2D)とC#類似のスクリプト言語で記述できる自由度の高い上級者モードを搭載している(図2E)。さらに、時間帯によって8種類の異なるスクリプトを登録して実行できるスケジュール機能を持つ。
- ユーザーはUECS対応機器の自動検出機能を用いて機器を登録後、マウスによるドラッグ&ドロップによりアイコンを配置・結線し、スクリプトを作成、スクリプト実行、という工程で制御ロジックを作成し、複合環境制御を実行できる(図3)。
- このソフトウェアをCO2施用の制御に使用し、日射のある時間帯にCO2濃度を800ppmに維持すること、窓の開放を検出した場合は施用を停止するという条件を記述して実行すると意図通りの結果が得られ、効率的なCO2施用が可能である(図4)。
- このソフトウェアは地域戦略プロジェクト「UECSプラットホームで日本型施設園芸が活きるスマート農業の実現」研究成果集のWebページ (https://smart.uecs.org/tools.html#sw3)から無償でダウンロード可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:各県の農業試験場・普及組織、JA、生産者、大学、研究機関
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:2018年現在では山口県農林総合技術センターおよび香川県農業試験場で新しい環境制御技術の開発に活用されている。これらの取り組みが成功すれば5ha程度の栽培面積に普及する可能性がある。
- その他:初心者モードから上級者モードにスクリプトを自動変換することは可能だが逆変換には対応していない。スクリプトの実行中にはWindows PCを常時可動させなければならない。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/warc/2018/18_011.html
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カテゴリ |
環境制御
くり
コスト
栽培技術
施設園芸
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