タイトル |
カンキツの種なしに関わる形質である雄性不稔性を選抜するDNAマーカー |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 |
研究期間 |
2015~2018 |
研究担当者 |
後藤新悟
吉岡照高
太田智
喜多正幸
濵田宏子
清水徳朗
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発行年度 |
2018 |
要約 |
カンキツ果実の種なしに関わる形質である雄性不稔性を選抜できるDNAマーカーである。本マーカーにより、幼苗期に雄性不稔性実生を選抜することができ、種なしカンキツの育種を効率化できる。
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キーワード |
カンキツ、育種、雄性不稔性、DNAマーカー、QTL
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背景・ねらい |
カンキツ育種では、長い年月と多くの実生を植え付ける広い圃場が必要となるため、育種規模の拡大が困難である。このため、DNAマーカーにより幼苗期に果実の特性を評価できれば、評価対象とする実生の母数を大幅に増やせ、優れた特性を持った実生をより確実に選抜することができる。また、消費者からは果実に種子が入りづらく食べやすい特性が求められている。そこで、雄性不稔性によって自家受粉が抑制されることで果実が種なしもしくは種が少なくなることを利用し、種なしカンキツ育種を効率化するため、雄性不稔性を制御するQTLを同定し、選抜のためのDNAマーカーを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- カンキツの雄性不稔性は、主に1葯あたりの花粉数、次いで花粉稔性によって構成される。雄性不稔性のカンキツ興津46号と通常タイプのカンキツ興津56号の交配集団を用いて遺伝解析したところ、1葯あたりの花粉数を制御するQTL(MS-P1)は第8連鎖群に、花粉稔性を制御するQTL(MS-F1)は第6連鎖群に座乗する(図1)。
- 育成品種の系譜とQTL座近傍の遺伝子型からカンキツ興津46号が持つMS-P1とMS-F1は育成品種の祖先品種であるクネンボから遺伝したものと推定される。1葯あたりの花粉数が極めて少なくなるためにはゲノム中にMS-P1を持つだけでなく、紀州ミカン由来の細胞質を持ち合わせる必要がある(図2A)。また、花粉稔性が低くなるためにはMS-F1と紀州ミカン由来の細胞質が必要である(図2B)。
- TSRF161マーカーとGSR5112マーカーを用いて交配集団からMS-P1を持つ実生個体を識別すると、これら実生個体は1葯あたりの花粉数が少ない特性を示す(図3A)。異なる交配集団(カンキツ興津46号×「カラ」)においてMS-P1を持つ実生個体を選抜すると、これら実生個体は1葯あたりの花粉数が少ない特性を示す(図3B)。
- NSX156マーカーとSSR08B32マーカーを用いて交配集団からMS-F1を持つ実生個体を識別すると、これら実生個体は花粉稔性が低い特性を示す(図4A)。異なる交配集団(カンキツ興津46号×「カラ」)においてMS-F1を持つ実生個体は低い花粉稔性を示す(図4B)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:農業試験研究機関
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:愛媛県、和歌山県などカンキツ類の育種事業を実施する試験研究機関
- その他:これらのマーカーを用いて雄性不稔性の個体を選抜できるのは紀州ミカン由来細胞質を持つ交配集団のみである。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2018/18_034.html
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カテゴリ |
育種
受粉
DNAマーカー
品種
その他のかんきつ
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