ロータリーキルン式バーナーによる肉牛ふん堆肥の燃焼技術マニュアル

タイトル ロータリーキルン式バーナーによる肉牛ふん堆肥の燃焼技術マニュアル
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2014~2018
研究担当者 田中章浩
古橋賢一
黒田和孝
発行年度 2018
要約 肉牛ふん堆肥の熱エネルギー化において、肉牛ふん堆肥、オガクズ、炭酸カルシウムを乾物重量比5:5:1の割合で固形燃料化し、ロータリーキルン式バーナーの1次空気:2次空気の通気配分2.9:1で燃焼することで、CO、NOx、SOxの排ガス基準を満たすことができる。
キーワード 肉牛ふん堆肥、燃焼、熱エネルギー化、バーナー、排ガス
背景・ねらい 平成28年に新たなバイオマス活用推進基本計画が策定され、家畜排せつ物に関して従来からの堆肥等の利用に配慮しつつ、地域の実情に応じて炭化・焼却処理やメタン発酵ガスなどによる高度エネルギー化を推進し2025年に約90%の利用を目指している。また、平成27年に新たな「家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針」が策定され、家畜排せつ物の堆肥化の促進、エネルギーとしての利用の推進、畜産環境問題への対応が掲げられている。飼養規模の拡大により家畜排せつ物が多量に発生する一方で、堆肥としての利用が進まない地域等においては、家畜排せつ物を活用した電気、熱等のエネルギー利用を推進することで、畜産農家等の光熱費の低減が期待される。そこで、本研究では肉牛ふん堆肥の固形燃料化技術と共に、ロータリーキルン式バーナーで熱エネルギーに変換するための燃焼技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本マニュアルは、肉牛ふん堆肥をロータリーキルン式バーナーで、CO、NOx、SOxに関する排ガス基準を満たした燃焼を可能とし、熱エネルギー利用を促進するための固形燃料化・燃焼技術をまとめたものである。
  2. 肉牛ふん堆肥、オガクズ、溶融防止のための炭酸カルシウムを乾物重量比で5:5:1の割合で混合し、水分を25~30%程度に調整する。調整した材料をローラーディスクダイ成型機で、直径8mm、長さ10mmの円柱状に加工・2次乾燥を行い、固形燃料化する。ロータリーキルン式バーナーによる熱エネルギー化では、内部円筒形燃焼炉を約0.2rpmで回転させ、内部温度が約1000°Cになるまで木チップを燃焼させて加熱した後に、固形燃料に切り替えて燃焼させる(図1)。
  3. 固形燃料の高位発熱量は約14.5MJkg-1で、堆肥購入する条件での製造経費は19.6円kg-1である。A重油(高位発熱量39.1MJL-1、価格86円L-1)の1MJ当たりの価格2.2円MJ-1から、固形燃料の高位発熱量にA重油の1MJ当たりの価格を乗じたA重油換算価値は、31.9円kg-1である(表1)。
  4. 固形燃料を低位発熱量293.08MJh-1(水分9.7%、重量21.7kgh-1)で内部円筒形燃焼炉に連続供給し、燃焼させる。1次空気量は100Nm3h-1とし、2次空気量を25~50Nm3h-1の流量で変化させると、燃焼温度890~930°C、排気中の酸素濃度10.5~13.1%となり、2次空気量を多くすると燃焼温度は低下、酸素濃度は増加する(図2)。
  5. 固形燃料を燃焼させた際の排気中にSOxは検出されない。また、産業廃棄物処理施設の維持管理の技術上CO濃度基準100ppm以下、大気汚染防止法施行規則における窒素酸化物排出基準(O2=6%換算値)350ppm以下の条件を満たすための2次空気量の範囲は、32.8~47.4Nm3h-1である。最適な2次空気量は35Nm3h-1であり、1次空気:2次空気の配分割合は2.9:1である(図3)。
  6. 燃焼灰は窒素がほとんど含まれず、カリに比べリン酸を多く含み、pHが高い。燃焼灰に含まれるリン酸は、そのほとんどがく溶性リン酸で、リン酸肥料の代替資材として利用可能である(2015年度研究成果情報http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2015/karc15_s18.html)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:畜産農家、堆肥生産者、普及指導機関
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国・熊本地域において4184MJh-1規模のバーナーが5台導入済み、家畜ふん堆肥や汚泥堆肥等の燃焼に年間5台程度の普及が期待できる。
  3. その他:排ガス中のNOX濃度等は堆肥に含まれる成分に関係するので、適宜確認が必要である。また、得られた熱エネルギーは、ハウスや畜舎の暖房、バイオマスの乾燥等に利用できる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2018/18_082.html
カテゴリ 肥料 加工 乾燥 肉牛

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