プロトタイピングを活用した6次産業化における商品開発手法

タイトル プロトタイピングを活用した6次産業化における商品開発手法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2015~2017
研究担当者 安江紘幸
発行年度 2018
要約 試作品の評価と改善を繰り返し行い商品化を模索する手段であるプロトタイピングを活用することで、従来の商品開発プロセスの各段階(商品企画、内部評価、外部評価、テスト販売)での検証が可能となり、商品化に必要な基礎情報を得ることができる。
キーワード 商品開発、6次産業化、プロトタイピング
背景・ねらい 6次産業化の商品開発において小規模事業体である多くの農業経営は、マーケティングや商品開発の専門家を配置することが難しく、事業者自らで試作品を評価するために検証が不十分なまま商品化を決定してしまうことも少なくない。そこで、上記の問題解決を図るために本研究では、従来の商品開発プロセスの各段階(商品企画、内部評価、外部評価、テスト販売)で試作品の評価と改善を繰り返し行うプロトタイピングを活用して実験的に商品開発を行い、体系的な商品開発手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. プロトタイピングを活用した商品開発は、以下の手順で行う(図1)。まず「商品企画」では、事業者と支援機関が協力し、経営ニーズおよび技術シーズを勘案した上で、いくつかの商品企画を立案し事前評価を行い、試作品制作に向けて絞り込みを行う。
  2. 次に、「内部評価」では、高い評価を得た企画案に基づき試作品を制作し、事業者と支援機関(普及センター、JA等)の関係者による食味調査と価格感度分析(PSM分析)を用いた価格調査を行い、商品化候補の更なる絞り込みを行う(図2)。
  3. 続いて、「外部評価」では、内部評価の結果を踏まえた改良品を用いて、事業者や支援機関の関係者以外から食味とPSM分析で算出した受容価格帯について評価を得る(表1)。
  4. 最後に、「テスト販売」では、外部評価で決定した商品仕様にデザインを加えた製品を用いて、事業者が実店舗で試験的に販売する。そして、その売れ行きの状況に応じて販売個数の見通しを立て、損益分岐点と製造原価を算出して収益性を評価する。
  5. 本手法の特徴は、ユーザー評価を試作品制作へ迅速にフィードバックできるため、早期にテスト販売まで実施することが可能となり、6次産業化の商品開発期間を短縮するとともに開発コストを低減させられることである。また、従来の商品開発手法との大きな違いは、「商品企画」「内部評価」「外部評価」「テスト販売」の各段階で試作品の評価と改善を繰り返すことで、商品化に必要な情報を適時得ることができる点にある。
成果の活用面・留意点
  1. 6次産業化に取り組む農業経営が支援機関(普及センター、JA等)の協力を得て、商品開発を行う上で参考になる。
  2. 図1に示す食味官能検査は、内部評価では試作品の特性(味や食感等の強弱)を評価するための分析型であり、外部評価からは被験者の好みを評価するための嗜好型となる。なお、食味官能検査の実施に際しては、消費期限の設定を目的とした微生物試験や官能評価による安全性検査および品質保持に配慮した提供方法や試食手順に留意する必要がある。
  3. 本手法を活用した事例では、「商品企画」段階でコンセプト作りや販売対象の絞り込みに多くの時間をかけず事前評価を実施した。テスト販売は、県のアンテナショップや小売店舗内の一角等で行った。その結果、事例では、これまで一年かかっていた商品開発期間を約半年に短縮するとともに、候補を早い段階で絞り込めたので安全性検査に係る費用を抑えることができた。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2018/tarc18_s03.html
カテゴリ 経営管理 コスト 品質保持 良食味

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