複数の遺伝子分節を用いた鳥インフルエンザの地域内伝播解析法

タイトル 複数の遺伝子分節を用いた鳥インフルエンザの地域内伝播解析法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究期間 2014~2017
研究担当者 常國良太
矢口裕司
鹿島悠幹
山下薫
竹前喜洋
峯淳貴
谷川太一朗
内田裕子
西藤岳彦
発行年度 2018
要約 複数の遺伝子分節に起こった変異とウイルス分離時期、分離場所を合わせて解析することで短期間でのインフルエンザウイルスの地域内での伝播の様子を詳細に解析することができる。
キーワード 高病原性鳥インフルエンザウイルス、遺伝子分節、伝播、遺伝子変異解析、地理系統解析
背景・ねらい インフルエンザウイルスの伝播状況を解析するためには、各事例の分離ウイルスの遺伝子情報をもとに遺伝子系統樹を作成し、遺伝子変異の蓄積からウイルス同士の関係を調べる必要がある。従来の方法では、インフルエンザウイルスの8つの遺伝子分節のうち1分節のみを解析に用いるため、ウイルスの変異が少ない短期間でのウイルス伝播を詳細に解析することが困難であった。そこで本研究では、茨城県で2016年11月から2017年1月の約2か月の間に報告された63件の死亡野鳥での高病原性鳥インフルエンザウイルス感染について、複数の遺伝子分節での遺伝子変異とウイルス分離時期、分離場所を合わせて解析することで、より詳細な伝播経路が解析出来る遺伝子系統樹作成法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. インフルエンザウイルス分離株間で複数の遺伝子分節に起こった遺伝子変異の蓄積を時系列情報とともに、比較解析することにより、遺伝子変異を正確に反映した系統樹が作成できる(図1)。
  2. 作成した系統樹と分離ウイルスの地理情報を、地図上にプロットすることにより、視覚的に分離ウイルスの伝播を解析することが可能となる(図1)。
  3. インフルエンザウイルスが有する7分節の遺伝子を用いた解析により、茨城県で2016年から2017年に死亡野鳥から分離された高病原性鳥インフルエンザウイルスの県内での伝播の詳細を推定することが可能である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 複数の遺伝子を用いて系統樹を作成する手法を用いることにより、変異の少ないウイルス株間での高病原性鳥インフルエンザウイルスの詳細な進化を解析することができる。
  2. 遺伝子再集合によってウイルスが変異し、株間での相同性の低い遺伝子が含まれる場合の解析手法についても、検討する必要がある。
  3. 本解析により、茨城県の野鳥の事例では県外からの複数回のウイルス侵入だけでなく、県内においても約40km離れた場所にウイルスの伝播が確認されていることから、高病原性鳥インフルエンザが報告された場合は、ある程度離れた場所においても警戒が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niah/2018/niah18_s12.html
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