改変型SpCas9の利用による変異導入位置自由度の拡大

タイトル 改変型SpCas9の利用による変異導入位置自由度の拡大
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2016~2018
研究担当者 遠藤真咲
三上雅史
賀屋秀隆
遠藤亮
伊藤剛
西増弘志
濡木理
土岐精一
発行年度 2018
要約 NGをPAM配列として認識する改変型SpCas9(SpCas9-NGv1)を用いることにより、植物におけるゲノム編集が可能な位置の制限が大幅に緩和され、合わせてデアミナーゼを用いることで、塩基置換の位置的な制約も軽減される。
キーワード CRISPR/Cas9、ゲノム編集、PAM、塩基置換
背景・ねらい CRISPR/Cas9システムにおいては、Cas9が認識するPAM配列の有無がゲノム編集可能な位置の制約となる。本研究は、構造科学に基づいて改変されたSpCas9を植物のゲノム編集に利用し、変異導入位置の制約低減を目指すものである。SpCas9は本来NGGをPAM配列とするが、東京大学で開発された改変型SpCas9[SpCas9-NG(ARVRFRR) Nishimasu et al. (2018) Science;本稿ではSpCas9-NGv1と表記]はNGをPAM配列とする。SpCas9-NGv1を植物のゲノム編集に適用し、切断に伴う変異導入位置の自由度拡大につなげるとともに、SpCas9-NGv1とcytidine deaminaseの融合タンパクの利用によるCからTへの塩基置換導入を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 野生型SpCas9(SpCas9-WT、図1A)に7アミノ酸置換を導入したSpCas9-NGv1(図1B)は、NGをPAM配列として認識し、SpCas9-WTでは変異を導入できないNGA、NGT、NGCの近傍にも変異を導入することが可能である(図2)。
  2. SpCas9-NGv1のoff-target変異導入頻度はSpCas9-WTよりも低い(表1)。
  3. SpCa9-NGv1にD10A変異を導入してnickcaseタイプに改変し、さらにcytidine deaminaseを融合させたタンパク質(図1C)を用いることにより、NG近傍にCからTヘの塩基置換を導入することができる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. SpCas9のPAM配列がNGGからNGに変わることで、変異導入可能な位置が4倍になり、希望する位置に変異を導入しやすくなる。
  2. PAM配列の制約が軽減されることで、off-target変異が入る可能性のある場所も増えるが、SpCas9-NGv1のoff-target変異活性そのものはSpCas9-WTよりも低いため、off-target変異の頻度は野生型SpCas9と変わらないか減少する。
  3. 遺伝子破壊を目的とするゲノム編集では、変異(塩基の挿入または欠失)の導入位置はそれほど厳密である必要はない。一方、アミノ酸置換による機能付与型のゲノム編集を目指す場合、特定の塩基を改変する必要があり、PAM配列の緩和の有用性は大きい。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2018/nias18_s09.html
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