複数の気象機関の季節予測データを利用した新たな穀物収量予測手法

タイトル 複数の気象機関の季節予測データを利用した新たな穀物収量予測手法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究期間 2017~2018
研究担当者 飯泉仁之直
金元植
Yonghee Shin
Moosup Kim
Jaewon Choi
発行年度 2018
要約
アジア太平洋地域の5つの気象機関の短期気候予測(季節予測)データを利用する新たな収量予測手法である。本手法により、世界の収穫面積の約3分の1で、トウモロコシ、ダイズ、コメ、コムギの収量を前年からの変化率という形で収穫3ヵ月前に予測できる。
キーワード 収量予測、トウモロコシ、コメ、コムギ、ダイズ
背景・ねらい 近年、多くの国で穀物の輸入量が増加しており、輸出国での不作や、それに伴う国際市場価格の上昇が、食糧輸入国(特に開発途上地域)が食糧を確保する上で大きなリスクとなっている。異常天候に起因する食糧状況の悪化に対し、国内の備蓄量の積み増しなどの対応を迅速に行うためには、自国のみならず関係諸国の穀物収量を事前に予測することが重要である。このため、全世界を対象とした収量予測情報が国際機関や食糧輸入国の政府などから求められている。そこで、本研究では、アジア太平洋地域の5つの気象機関が作成した、全世界を対象とする気温と降水量の季節予測データを用いて、穀物収量変動(予測年の収量が前年に対して多いか、少ないか)を予測する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 3ヵ国5つの気象機関(韓国2、米国2、カナダ1)が作成した複数の気温と降水量の季節予測データと高解像度(120kmメッシュ)の全球作物収量データベースを用いて、地域、季節別に予測精度の最も高い気温・降水量データを選択的に収量予測に用いる手法である(図1)。
  2. 予測性能を検証した結果、4種の穀物の平均では世界の収穫面積の約3分の1で、収穫3ヵ月前に収量変動を予測できる(トウモロコシ38%、ダイズ30%、コメ25%、コムギ34%、図2)。
  3. メッシュ別の予測を集計することで国平均収量の変動を予測できる国がある。国平均収量の変動の予測が可能な国の割合は、トウモロコシ42ヵ国、ダイズ7ヵ国、コメ21ヵ国、コムギ27ヵ国である。その中には、米国とブラジル、アルゼンチンといったトウモロコシの主要輸出国も含まれる。ダイズではアルゼンチンやカナダ、コムギではロシア、カナダ、オーストラリアといった主要輸出国の予測が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法を、国連食糧農業機関(FAO)などが運用する、食糧価格を監視するシステム(AMIS)や衛星リモートセンシングによる世界の農業監視システム(GEOGLAM)などと組み合わせることで、国際機関や食糧輸入国の政府機関、輸入穀物を原材料に使用している民間企業などが異常天候の生産影響に早期に対応することが可能になる。
  2. 本手法を用いた、全世界を対象とする穀物の収量変動予測サービスの試験運用を、APEC気候センター(韓国)と共同で、2019~2020年に予定している。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2018/niaes18_s05.html
カテゴリ 大豆 データベース とうもろこし 輸出 リモートセンシング

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる