国産抹茶の価格と化学成分含有量の関係

タイトル 国産抹茶の価格と化学成分含有量の関係
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2014~2018
研究担当者 堀江秀樹
中村順行
発行年度 2018
要約 高価格な抹茶は、テアニン含量及び(エピガロカテキンガレート)/(エピガロカテキン)比が高い。さらに、抹茶においてはクロロフィル含量と相関の高い緑色の指標値(A664)が一定値以上である。これらの科学的な指標は、抹茶の定義を支えるものとして活用できる。
キーワード テアニン、EGC、クロロフィル、ISO、抹茶の定義
背景・ねらい 近年の国内外の急速な抹茶需要の拡大にともない、粗悪な抹茶の流通が懸念されている。日本茶業中央会の定める緑茶の表示基準では、抹茶は「碾茶(覆下栽培した茶葉を碾茶炉等で揉まずに乾燥したもの)を茶臼等で微粉末状に製造したもの」と定義される。国産抹茶のブランド価値を高めるためには、抹茶の定義を支える科学的裏付けが必要である。そこで、本研究では国内の抹茶産地から多様な価格の抹茶を収集し、それらの化学成分含量を安価な粉末茶と比較することにより、品質と成分の関係を明らかにする。集積した分析値に基づき成分基準等を提案することにより、抹茶の適正な流通に資する。
成果の内容・特徴
  1. 抹茶は、煎茶に比べてテアニンなどのアミノ酸含量が高いので、テアニン含量を価格との関係で比較した結果、高価格な抹茶ほどテアニン含量が高い傾向がある。テアニン含量1%以下の抹茶は56試料中1試料である。市販の粉末茶6試料のうち、テアニン含量1%を超えるものはない(図1)。
  2. 抹茶は覆下栽培する。覆下栽培によりエピガロカテキンガレート(EGCG)の含量は変化しないが、エピガロカテキン(EGC)の含量は低下する。EGCG/EGC比を抹茶の価格との間で比較したところ、高価格な抹茶ほどEGCG/EGC比が高い。EGCG/EGC比が2以下の抹茶は56試料中1試料である。EGCG/EGC比が2を超える粉末茶は6試料中2試料である(図2)。
  3. 茶粉末50mgを80%アセトン50mlで抽出した液の664nmにおける吸光度をA664とする。A664は茶粉末中のクロロフィル含量との相関が高く、抹茶の緑色の指標として活用できる。試料のA664を比較したところ、価格とは無関係に、すべての抹茶試料においてA664が0.4以上であった。粉末茶ではこの値を超える試料はない(図3)。
  4. テアニン含量、EGCG/EGC比及びA664は抹茶を規定する指標として有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 本報告は、全国の産地から収集した抹茶74試料のうち、包装容量40g以下の56試料を対象としている。
  2. 本成果はISOにおける「抹茶の定義」策定等に活用される。
  3. テアニンやEGCG、EGCの分析法については、ISOの標準分析法が公表されている。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2018/nifts18_s16.html
カテゴリ 乾燥 抹茶

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