タイトル | 糖含量が高くTDN収量の多いオーチャードグラス中生品種「えさじまん」 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 2000~2020 |
研究担当者 |
眞田康治 田瀬和浩 田村健一 山田敏彦 高井智之 秋山征夫 梅村和弘 谷津英樹 横山寛 高山光男 佐藤駿介 高橋強 柴山草太 本間満 秋山翔平 納多春佳 影浦隆一 玉江宗大 |
発行年度 | 2020 |
要約 | オーチャードグラス中生品種「えさじまん」は、北海道から北東北で「ハルジマン」より多収である。糖含量は「ハルジマン」より3ポイント高く、TDN収量が多く、サイレージ発酵品質は良好である。すじ葉枯病罹病程度は「ハルジマン」より低い。 |
キーワード | オーチャードグラス、糖含量、TDN収量、サイレージ、産乳量 |
背景・ねらい | 北海道と東北の基幹イネ科牧草であるオーチャードグラスは、再生力と環境耐性に優れるが飼料品質が低下する場合があり、飼料品質の改良が求められている。イネ科牧草の糖を始めとする水溶性炭水化物(WSC)は、その含量が高まることで、家畜の消化性やサイレージの発酵品質が向上することが知られている。そこで、オーチャードグラスのWSC含量を高めた品種を育成し、自給飼料の品質向上を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1.出穂始日は6月2日で、標準品種「ハルジマン」と同じ"中生の晩"である(表1)。 2.年間合計乾物収量は、北海道から東北の各場所において、「ハルジマン」より多収~並みで、全場所平均では「ハルジマン」比104%で、やや多収である(図1)。年間合計TDN(可消化養分総量)収量は「ハルジマン」比109%と多収である(表1)。 3.WSC含量は、各番草ともに「ハルジマン」より約3ポイント高く、年間平均では「ハルジマン」より3.3ポイント高い(図2)。 4.中性デタージェント繊維(NDF)含量は、「ハルジマン」より低く、第一胃内乾物消失率は「ハルジマン」より高い(表1)。推定TDN含量は、「ハルジマン」より約2ポイント高い(表1)。サイレージ調製の実規模試験では、Vスコアは89で発酵品質は良好である(表1)。 5.越冬性と早春の草勢は、「ハルジマン」よりやや優れる(表1)。耐寒性は、"中~やや弱"、雪腐病に対する耐病性は"中"である(表1)。 すじ葉枯病に対する耐病性は、罹病程度がは「ハルジマン」より低いことから、優れる(表1) 6.倒伏程度は「ハルジマン」よりやや大きいが、発生程度は小さく、実用上問題はない(表1)。 7.放牧において、年間を通して「ハルジマン」より採食量が多く、年間合計採食量は「ハルジマン」より30%多い(表1)。 8.「えさじまん」の1番草サイレージを主体とするTMR(混合飼料)を搾乳牛に給与した場合、「ハルジマン」給与に比べて乾物摂取量が5%多く、産乳量が4%多い(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:酪農家、繁殖および肥育農家、TMRセンター等外部支援組織。 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道と東北北部の7500ha。 3.その他: 採草利用を主体に、放牧利用および採草放牧兼用にも利用できる。雪腐病に対する耐病性は「ハルジマン」より劣るが、地域適応性検定試験における各地の越冬性と1番草収量から判断して、越冬について実用上問題はない。種子は、雪印種苗(株)より2021年4月から販売されている。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2020/20_020.html |
カテゴリ | サイレージ調製 耐寒性 乳牛 繁殖性改善 品種 |