水稲の広域的な冷害、高温害の発生予測システム

タイトル 水稲の広域的な冷害、高温害の発生予測システム
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 川方俊和
長谷川利拡
屋比久貴之
大久保さゆり
稲冨素子
桂樹哲雄
発行年度 2020
要約 メッシュ農業気象データと水稲統計情報から、東北地方の広域的な冷害、高温害などの気象災害リスクの発生を把握し、予測する。これまでの水稲の主要な発育ステージの面的予測を拡張し、冷却量、ヒートドース値、登熟気温とその平年差の面的推定図を追加した情報発信システムである。
キーワード 冷害、高温害、面的予測、水稲、1kmメッシュ
背景・ねらい 近年の気候変動の拡大に伴い、今後も東北地方では冷害の発生が予想される。日本海側では高温障害の発生が報告されており、早期の高温害予測が要望されている。これまで、農研機構メッシュ農業気象データと水稲統計情報から、東北地方の出穂期の面的分布を計算する方法を開発し(2017年度普及成果情報)、より高精度な出穂期予測に改良し(2018年度研究成果情報)、主要な発育ステージの面的予測システムを開発した(2019年度過年度普及成果情報)。本研究では、この発育ステージの面的予測を応用して、広域的な冷害、高温害などの気象災害リスクを把握し、予測するシステムを開発する。
成果の内容・特徴 1.始めに、冷害などの気象災害リスクが開始する発育ステージと終了する発育ステージを設定する。次に、発育ステージの面的予測から、気象災害リスクが開始する日付、気象災害リスクが終了する日付を推定する。この期間の気象災害リスクとその平年差を計算する(図1)。
2.気象災害リスクの計算には、冷却量、ヒートドース値、登熟気温を用いる。冷却量は、20°C以下の日平均気温の積算値であり、不稔歩合と関係がある。冷害危険期は出穂日前300°C日に設定する。幼穂形成期から冷害危険期までの冷却量を冷却量1、冷害危険期間(出穂前450~150°C日)の冷却量を冷却量2、冷害危険期から出穂日までの冷却量を冷却量3と名付け、それぞれの冷却量を計算する。それぞれの期間は、同じ300°C日である。ヒートドース値は、出穂日後20日間における26°C以上の日平均気温の積算値であり、白未熟粒率と関係がある。登熟気温は、出穂日後40日間における平均気温であり、作況と関係がある。
3.2020年の東北地方の気温は、5月下旬から6月下旬までは平年より高めに推移したが、7月中旬から下旬までは平年より低めに推移し、8月は平年よりも高めに推移した。この気温の推移と冷却量、ヒートドース値、登熟気温の推移とは、よく対応している(図2)。東北地方の2020年の作況指数は104である。幼穂形成期頃は低温のため障害型冷害が懸念されたが、その後、気温は平年より高めに回復し、登熟気温が平年よりも高いこと、それらことが作況指数に表れていることが示唆される。
成果の活用面・留意点 1.冷却量、ヒートドース値、登熟気温は、籾の状態、品質との関係に関する研究報告に基づいているが、気温からみた指標であることに留意する必要がある。
2.本システムは、東北地方の品種「ひとめぼれ」の発育速度式を用いているが、線形の発育速度を計算するアルゴリズムに置き換えることにより、東北以外の地方に拡張の可能性がある。
図表1 244506-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2020/tarc20_s17.html
カテゴリ 高温対策 水稲 凍害 品種

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