フォールアウト後に新植したクリ・温州ミカン・カキの放射性セシウムの移行係数

タイトル フォールアウト後に新植したクリ・温州ミカン・カキの放射性セシウムの移行係数
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2012~2019
研究担当者 堀井幸江
桑名篤
湯田美菜子
平岡潔志
南春菜
松岡かおり
草塲新之助
発行年度 2020
要約 放射性物質が降下した樹園地に定植したクリ、温州ミカンおよびカキの移行係数は10-4~10-3の範囲である。また、カキ果実の137Cs濃度に、定植時の表土管理方法(耕うん、表土剥土、表土戻し)は影響しない。
キーワード 果樹、東京電力福島第一原子力発電所事故、表土管理方法、移行係数
背景・ねらい 東京電力福島第一原子力発電所の事故における果実の放射性物質の蓄積は、地上部からの移行が主因であると考えられている。2011年事故当年のクリの見かけの移行係数は0.039~0.311であった(2011年普及成果情報)。果実の放射性物質の低減には改植が有効と考えられるが、新たに樹園地に定植した場合の果実への放射性物質の移行については調査事例が限られている。またあんぽ柿の生産現場では、出荷前に全量非破壊検査が実施され、安全性が確認された製品のみが出荷されているものの、その検査においてスクリーニングレベル超過のため廃棄される製品もあり、より安全な原料柿の生産が求められている。そこで、本研究ではフォールアウト後に定植した数種の果樹について果実への137Csの移行係数を調査する。さらに、定植時の表土管理方法が、あんぽ柿の原料であるカキ「蜂屋」の果実中137Cs濃度に与える影響を明らかにする。これらにより、フォールアウトの影響が残っている樹園地において改植を実施する際の参考情報を提供する。
成果の内容・特徴 1.クリ「ぽろたん」、温州ミカン「日南1号」およびカキ「蜂屋」・「平核無」の137Csの移行係数は、調査年によってばらつきが認められるものの、10-4~10-3の範囲である(図1,2)。
2.カキ「蜂屋」の移行係数は「平核無」より高い傾向がある(図2)。また、いずれの品種も果実の移行係数は葉の移行係数よりも低い(図2)。
3.定植時の表土管理方法(耕うん、表土剥土、表土戻し)を比較したところ、カキ「蜂屋」の果実および葉の137Cs濃度に処理区間の差は認められない(表1)。
成果の活用面・留意点 1.フォールアウトの影響が残っている樹園地において改植を行う際の目安に利用できる。改植園において結実した果実は、モニタリングを併用するなどして、より安全な果実生産を図る。
2.福島県農業総合センター果樹研究所ほ場(福島市飯坂町)(土壌 (0~20 cm) の137Cs濃度の平均値:1480 Bq/kg (2016年度)) において試験を実施した。放射性物質の降下を受けていない3年生「ぽろたん」、4年生「日南1号」、2年生「平核無」を2012年5月、5~7年生「蜂屋」を2013年3月に 植穴を掘り定植した。
3.耕うん区:バックホーにより約40cmの深さで土壌を掘りおこした後、ロータリー耕(深さ15cm)を実施して定植した。表土剥土区:地表面を5cmの深さで剥土し、耕うん区と同様に耕うん後定植した。表土戻し区:地表面を5cmの深さで剥土し、耕うん区と同様に耕うんし、カキを定植した後、剥土した土を表層に均等に戻した。
図表1 244596-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2020/nifts20_s15.html
カテゴリ 温州みかん 改植 かき くり 栽培技術 出荷調整 品種 モニタリング

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