タイトル | タマネギの育種的特性を組み込んだシミュレーションに基づくゲノム選抜法の評価 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門 |
研究期間 | 2019~2020 |
研究担当者 |
関根大輔 矢部志央理 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 他殖性や近交弱勢等のタマネギの育種的特性を組み込んだシミュレーションにより、タマネギでのゲノム選抜法の有効性を評価できる。また、複数の育種工程をシミュレートし、遺伝的改良度や近交弱勢の程度を比較することにより、実際の育種を開始する前に育種工程を選択できる。 |
キーワード | タマネギ、ゲノミックセレクション、シミュレーション、近交弱勢、世代短縮 |
背景・ねらい | ゲノミックセレクション(ゲノム選抜法)は、収量等の重要形質を効率的に改良する手法として期待されている一方で、生殖様式の違い等により、その選抜効率は作物種によって大きく異なる。タマネギは、他殖性であるが、雌雄同花で容易に自殖する。加えて、強い近交弱勢を生じるため、育種を行う上では、これらの特性を考慮する必要がある。そこで、これらの育種上の特性を設定に組み込んだ上で、従来の表現型による選抜法とゲノム選抜法のシミュレーションを行い、タマネギにおけるゲノム選抜法の有効性を検証する。また、複数の異なる育種工程についても同様にシミュレートし、遺伝的改良度や近交弱勢を考慮した上で選抜効率を比較する。 |
成果の内容・特徴 | 1.表現型選抜、一般的なゲノム選抜、世代短縮を組み合わせた工程(ゲノム選抜_A)および遺伝的に類似した個体同士の選抜を避けるゲノム選抜に世代短縮とモデル更新を組み合わせた工程(ゲノム選抜_B)の各々について、10年間の選抜を行うシミュレーションを実施する(図1)。 2.選抜期間全般を通して、ゲノム選抜法は表現型による選抜法に比べて遺伝的改良度が高い(図2-a)と評価できる。 3.7年目までは、ゲノム選抜_Aの遺伝的改良度は最も高いが(図2-a)、6年目以降は近交弱勢が発生する可能性が高くなることから(図2-b)、長期間よりも短期間で育種する場合の選抜効率が高いと評価できる。 4.10年目において、ゲノム選抜_Bの遺伝的改良度は他の工程と同様に高い一方で(図2-a)、自殖弱勢を発生する可能性が低いことから(図2-b)、長期間で育種する場合の選抜効率が高いと評価できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.育種目標や計画した育種期間に応じて、適した育種工程を選択する。 2.世代短縮は、早期に播種して大苗を育成し、冬場の低温遭遇により、球形成を経ずに1年目の春に開花(不時抽だい)させる栽培法を想定している |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nivfs/2020/nivfs20_s06.html |
カテゴリ | 育種 たまねぎ 播種 |