タイトル | 肥大性に優れ煮ダイコンに適するグルコラファサチン欠失性品種「ムッシューホワイト」 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門 |
研究期間 | 2013~2018 |
研究担当者 |
柿崎智博 石田正彦 小原隆由 吹野伸子 板橋悦子 酒井正彦 寺尾圭陽 大谷沙也加 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 「ムッシューホワイト」は、たくあん臭や黄変の原因となるグルコラファサチンを含まないダイコンである。白首で根先端部の肥大性が良いため、おでん用サイズの煮ダイコンに加工した際の歩留まりに優れる。 |
キーワード | ダイコン、加工業務用、黄変、おでん |
背景・ねらい | グルコラファサチン欠失性のダイコン品種の加工品からは黄変やたくあん臭が生じない。そのため、様々な加工品の原料としての利用が期待されている。近年はおでん等の煮ダイコンの需要が伸びているが、その原料に適する形質を持つグルコラファサチン欠失性品種は育成されていなかった。そこで、煮ダイコン用としての適性が高く歩留まりが優れる品種を開発し、グルコラファサチン欠失性品種の利用拡大を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1.「ムッシューホワイト」は、育種素材である「だいこん中間母本農5号」のグルコラファサチン欠失性を連続戻し交配により固定系統R102およびR104に付与したF1品種である(図1、図2A)。種子親のNMTB_R102_MSは細胞質雄性不稔性であり花粉が生じないため、種子生産時に自殖種子の混入がなく収穫物の揃いに優れる。なお、本系統の維持にはNMTB_R102を花粉親として利用する。 2.「ムッシューホワイト」の根重は青首総太り品種の「耐病総太り」(タキイ種苗)に比べて重く、収量性に優れる(表1)。また、最大部根径が太く尻形が"つまり"であることから、"ややつまり"の「耐病総太り」と比べて、おでん用ダイコンの標準規格である直径6 cmのピースに加工できる領域が長い(図2B)。 3.「ムッシューホワイト」の根部からは、グルコラファサチン欠失性品種の「サラホワイト」と同様にグルコラファサチンが検出されず、別種のグルコシノレートであるグルコエルシンが優占的に含まれる(表2)。 4.高さ3 cm、直径6 cmの円筒状に切った「ムッシューホワイト」と「耐病総太り」を、2 Lの熱湯で30分間加熱した煮ダイコンから発生するメルカプタン類(たくあん臭の主成分)をガス検知管により測定した場合、「耐病総太り」からは約3.5ppmのメルカプタン類が検出されるのに対し、「ムッシューホワイト」からは検出されない(検出限界0.5ppm、データ省略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.「ムッシューホワイト」は、関東以南の秋まき秋冬どり作型に適する。 2.黒斑細菌病や軟腐病に罹病することがあるため適切な防除が必要である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nivfs/2020/nivfs20_s05.html |
カテゴリ | 育種 加工 だいこん 品種 防除 |