ナスpad-1変異体の単為結果性機構

タイトル ナスpad-1変異体の単為結果性機構
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究期間 2011~2019
研究担当者 松尾哲
宮武宏治
遠藤誠
浦霜聡一
河西孝昭
根来里美
島越敏
福岡浩之
発行年度 2020
要約 ナスpad-1変異体は、オーキシン生合成の逆反応を触媒するアミノ基転移酵素の機能欠損により子房に高濃度のインドール酢酸(IAA)を蓄積し、単為結果性を示す。原因遺伝子Pad-1のトマトとピーマンにおけるオルソログ遺伝子の機能抑制は、ナスと同様の機構で単為結果を引き起こす。
キーワード ナス、単為結果、オーキシン、トマト、ピーマン
背景・ねらい ナス科果菜類では、受粉とそれに続く受精の後に子房内の植物ホルモン含量が変化し、細胞の分裂や肥大が活性化することにより果実が肥大する。しかしながら、極端な低温や高温などの不良環境下では、花粉稔性の低下等により受精が阻害され、正常な果実肥大が妨げられる。この問題に対し、パラクロロフェノキシ酢酸などの合成オーキシン施用が栽培技術として確立されているが、その施用には多大な労力を要する。一方、ナス科果菜類には、受粉無しでも果実が肥大する単為結果性を有する素材が存在し、省力化や生産安定化の観点から品種開発への利用が強く望まれている。本研究では、実用的な単為結果性品種の開発につなげるため、自然突然変異によって生じたナスpad-1変異体の単為結果性原因遺伝子を単離し、その生理機構を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.pad-1変異体の果実は、受粉しなくても野生型の受粉果実と同等以上の大きさに肥大する(図1A)。pad-1変異体の未受粉の子房には、内生オーキシンであるIAAが野生型の約6倍の濃度で含まれる(図1B)。
2.pad-1変異体は、遺伝子の変異によりIAA生合成の逆反応を触媒するアミノ基転移酵素(Pad-1タンパク質)の機能を欠損している(図2A)。そのため、野生型では未受粉の子房の内生IAA濃度が低く保たれているが、変異体ではIAAが蓄積することで単為結果が引き起こされる(図2B)。
3.Pad-1のオルソログ遺伝子(SlPad-1およびCaPad-1)の機能抑制は、ナスと同様の機構でトマトおよびピーマンに単為結果を引き起こす(図3)。
成果の活用面・留意点 1.pad-1変異は単為結果性ナス品種「PC筑陽」(タキイ種苗株式会社)に導入されている。
2.pad-1変異を品種開発に利用するためには、「単為結果制御遺伝子およびその利用」(特許第6191996号)の許諾が必要である。
図表1 244625-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nivfs/2020/pad-1.html
カテゴリ 栽培技術 受粉 省力化 単為結果 トマト なす ピーマン 品種 品種開発

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