タイトル | AI機械学習を用いたトマト産地の出荷量予測技術 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門 |
研究期間 | 2019~2020 |
研究担当者 |
王蕊 東出忠桐 筧雄介 礒﨑真英 |
発行年度 | 2020 |
要約 | AI機械学習を利用して、トマト産地において過去の出荷情報と気象情報から産地全体の出荷量を予測する技術である。その時点までの出荷量実績と気象予測とを入力することで将来の予測出荷量が算出できる。 |
キーワード | 出荷量、気象、予測、機械学習 |
背景・ねらい | トマト産地では、産地全体での安定的な出荷と価格維持ため、定期的な生育調査および調査者の経験やそれにもとづいた勘などにより、産地全体の出荷量の予測を行ってきた。しかし、定期的な生育調査には多くの労力と時間を要するうえに、生産者数が多い場合にはすべてを調査することはできない。また、調査経験の浅い調査者の場合、予測の精度が低下するなどの問題がある。効率化が求められている近年の生産現場においては、出荷量予測のための定期的な調査に要する労力の削減と、予測精度の向上が同時に求められている。そこで、本研究では、AI機械学習を利用し、過去のトマト出荷量データと関連データからトマト産地の出荷量を予測する技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1.本予測技術では、まず、過去数年分の出荷量データおよび、トマト生育中の気象データなど関連データのそれぞれの特徴(例、出荷特徴量、出荷前1週間出荷量、出荷前2週間出荷量、生育特徴量、果実肥大期間の平均温度、日射量)を抽出し、機械学習による出荷量予測モデルを作成した(図1)。出荷量を予測するには、この予測モデルに、その時点までの出荷量実績と気象予測とを入力することで将来の予測出荷量が算出される。 2.本予測技術を熊本県八代地域の約300haのトマト産地において適用し、2018年11月~2019年5月の間、毎週、2週間後の出荷量を予測したところ、概ね実際の出荷量が予測できた(図2)。予測出荷量に対する実際の出荷量の割合、すなわち誤差率(=|実際の出荷量-予測出荷量|/実際の出荷量×100(%))は、週ごとにばらつきはみられるものの概ね20%以内であり、期間全体の平均誤差率は12.6%である。 3.一般にAI機械学習では因果関係を説明できず、科学的根拠を説明することができない場合が多いが、本予測技術では判断根拠の重要度が把握できる。今回の場合、「出荷特徴量Bの出荷量」が最も重要であることが理解でき、生産地域の気象特徴量よりも選果場の出荷特徴量に高い重要度が認められる(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本予測方法を利用するには、栽培現場における生育調査と予測モデルを利用するための植物生理学の専門的な知識が不要である。 2.過去のデータ量が少ない場合や、産地全体で品種や栽培方法を変更した場合には精度が低下することがある。 3.本予測技術は、さまざまな地域や作物について適用して出荷量を予測できると見込まれる。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nivfs/2020/nivfs20_s03.html |
カテゴリ | 出荷調整 植物生理 トマト 品種 |