アナモックス菌が高濃度に自生する活性汚泥処理システムの微生物および窒素除去特性

タイトル アナモックス菌が高濃度に自生する活性汚泥処理システムの微生物および窒素除去特性
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2016~2020
研究担当者 和木美代子
石本史子
杉山典
松本敏美
上西博英
福本泰之
発行年度 2020
要約 アナモックス菌が高濃度に自生する養豚廃水処理施設においては、その主体となるアナモックス菌はCandidatus Jetteniaであり、曝気槽中の溶存酸素濃度が0.3 mg/L 以下の場合に、窒素除去率が高い。
キーワード 養豚廃水処理、活性汚泥処理、アナモックス、溶存酸素濃度
背景・ねらい アナモックス反応はアナモックス菌により起こり、アンモニアと亜硝酸を約1:1で消費し、窒素ガスを発生させて排水中の窒素を削減することができる。その窒素ガスの発生において、従来の脱窒反応のように有機物を消費しないことから、有機物/窒素比の低い畜産廃水からの窒素除去への利用が期待されている。
養豚廃水の活性汚泥処理施設にアナモックス菌が高濃度に自生している例がある。アナモックス菌が存在することで、有機物/窒素比が低い汚水でも高い窒素除去率が得られる可能性があることから、そのような施設における運転条件と、有機物および窒素の除去性能の特性について調査した。
成果の内容・特徴 1.調査施設は、中部地方に所在の肥育豚換算900頭から生じる畜舎廃水を処理する設備であり、48m3の曝気槽と沈澱槽から構成される、連続曝気・連続流入の活性汚泥処理設備である。BOD容積負荷は0.32±0.12 kg-BOD/m3/day、流入水のBOD/t-N比は1.78±0.58である。流入水中のBOD濃度および全窒素濃度はそれぞれ、1,104±513 mg/L、629±198 mg/L であり、処理水中のBOD濃度(最終処理水濃度)および水質汚濁防止法の硝酸性窒素等濃度(アンモニア態窒素×0.4+亜硝酸態窒素+硝酸態窒素)はそれぞれ、44±27 mg/L、92±69 mg/L である。
2.曝気槽の壁面や沈澱槽には赤色のバイオフィルムが観察される(図1)。これらを構成する全バクテリアの最大62.5%がアナモックス菌の属するPlanctomycetes門であり(図2a)、その内訳は、アナモックス菌であるCandidatus Jetteniaが主体である(図2b)。また、グラニュール(沈澱槽の水面に浮遊する粒状のバイオフィルム)、フロック(曝気槽中で流動するバイオフィルムの断片)のサイズが大きいほうがアナモックス菌の存在割合が高い。
3.曝気槽の溶存酸素濃度は、0.31±0.39 mg/L であるが、飼養頭数の変化や降雨等により季節に関わりなく突発的な上昇が散見される。BODの除去率は95±4%で年間を通じて安定していたが、窒素の除去率は68±17%で不安定である(図3)。
4.窒素の除去率は、溶存酸素濃度が0.3 mg/L 以下の時に、61±14% (水温20°C以下)、78±16%(20-30°C)、75±12%(30°C以上)となり、0.3 mg/L 以上の時の、47±13% (水温20°C以下)、55±16%(20-30°C)、68%(30°C以上)に比べて高い除去率を示す(図4)。
5.本施設では、アナモックス菌が高濃度に存在すること、流入水中に有機物が含まれること、曝気槽中溶存酸素濃度が微好気条件であることから、硝化、脱窒、アナモックス反応が同時に生起して窒素除去が起こると考えられる。
成果の活用面・留意点 1.アナモックス菌が自生する活性汚泥処理施設の、窒素除去率を高めるための溶存酸素濃度の管理条件に活用できる。
2.赤色の微生物はアナモックス菌以外にも存在することから、DNA解析等で確認する必要がある。
3.曝気槽や沈殿槽の汚泥を採取するときは、曝気槽への転落等、安全性に注意する必要がある。
図表1 244635-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2020/nilgs20_s15.html
カテゴリ アナモックス菌

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