排水機場や排水路の水位をリアルタイムで予測するプログラム

タイトル 排水機場や排水路の水位をリアルタイムで予測するプログラム
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2017~2020
研究担当者 木村延明
安瀬地一作
関島建志
桐博英
中田達
吉永育生
福重雄大
発行年度 2020
要約 低平地における排水機場の水位並びに排水路の水位を予測する2つのプログラムである。直近の実測値と気象予報をもとに、数時間先の水位をリアルタイムで予測可能である。水利施設の管理組織による効率的な操作管理を支援し、洪水被害の軽減と排水管理にかかる労力の軽減に資する。
キーワード RNN、LSTM、不定流解析、局所慣性方程式
背景・ねらい 近年、豪雨による災害が増加する傾向にあり、例えば風水害による農林水産被害額は例年2千億円を超えている。また、農地が宅地に転用されると、降雨時の流出傾向が変化するとともに、浸水が生じた場合の被害が増大するため、下流側の排水機場等の水利施設においては、より一層の慎重かつ的確な操作管理が求められている。
このような状況に対応するため、水利施設の管理組織による効率的な操作管理を支援し、洪水被害の軽減と排水管理にかかる労力の軽減を目的として、リアルタイムで水位を予測するプログラムを開発する。
成果の内容・特徴 1.開発したプログラムは、低平地の排水を担う排水機場と排水路の水位を、気象情報等に基づいてリアルタイムで予測する2つのプログラムである。いずれのプログラムとも、直近の実測値と気象予報のデータをもとに、数時間先の水位をリアルタイムで予測可能である。
2.排水機場の水位を対象としたプログラムは、時系列データの特徴を抽出する機能をもつリカレントニューラルネットワーク(RNN)の改良版であるLSTM(Long Short-Term Memory)プログラムであり、過去の降雨と水位を十分に学習することで、高速かつ高精度な予測計算が可能である(図1)。なお、本プログラムは、過去の観測データが十分にある地点であれば適用可能であるため、排水機場以外にも水位観測点等を対象とした水位予測も可能である。
3.排水路の水位を対象とした水理プログラムは、一次元の不定流解析であり、降雨流出に陰解法を、水位の再現に不等間隔3次精度風上差分法(Quickest法)を、それぞれ適用しており、安定した予測計算が可能である(図2)。網目のように広がる排水路の水位と、その氾濫を計算可能であり、面的な予測結果を任意の時間間隔で出力することが可能である。なお、計算に際し、水路断面等の現地の情報を整理、入力する必要がある。
4.これらの2つのプログラムは、イノベーション創出強化研究推進事業(開発研究ステージ)で開発された地域排水管理・減災情報システムの主たる要素を構成している(図3)。本システムのユーザーは2つのプログラムによる両方の予測結果を確認することが可能となっており、排水ポンプの効率的な運転操作や、水門等の水利施設の適切な管理操作の支援が可能である。
成果の活用面・留意点 1.普及対象:低平地の排水機場や排水路等の水利施設管理者。
2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:
北陸地域の低平地(約110km2)に試験導入中。東海地域の低平地に導入予定。
3.その他:
本成果は、水利施設管理者の効率的な運転操作を支援するものであり、1.普及対象が限定されており、準備が必要な水路断面等のデータは工学系の技術者であれば容易に作成が可能である。
図表1 244703-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nire/2020/20_062.html
カテゴリ 水管理

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