土壌含水率の分布推定にドローン空撮画像を活用するためのデータ拡張方法

タイトル 土壌含水率の分布推定にドローン空撮画像を活用するためのデータ拡張方法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター
研究期間 2019~2020
研究担当者 森下瑞貴
石塚直樹
発行年度 2020
要約 ドローン空撮画像から圃場内の土壌含水率分布を推定する際に、地上で測定した土壌含水率が測定地点から一定範囲内で均質と仮定してデータ拡張を行うことで、機械学習手法の適用が可能となる。これにより、土壌含水率の分布推定が高精度化される。
キーワード ドローン、土壌水分、ランダムフォレスト回帰、地理情報システム、人工知能
背景・ねらい 作物の湿害予測等において圃場内の水分状況を空間的にとらえる技術が求められており、ドローンによる空撮画像が注目されている。一方で、地上調査から取得できる土壌データ数は、多くても数十点と限られるため、近年の機械学習の実装に十分なデータ量(理想的には数千~数万点以上)の収集が難しく、ドローンによる土壌水分の推定精度は高くない。本成果では、高解像度のドローン空撮画像の特徴を活かし、機械学習に必要なビッグデータを構築するための地上調査データの拡張方法を開発し、ドローン空撮画像を活用した土壌含水率分布の高精度推定手法を提示する。
成果の内容・特徴 1.本手法では、ドローンで撮影した可視およびマルチスペクトル画像と、圃場内数十点において土壌突き刺し型センサで測定した深さ15cm~20cmの土壌含水率値を用いる。
2.測定地点から一定範囲内の含水率が均一と仮定し、測定値と範囲内に含まれるドローン空撮画像のピクセル値を紐づけることでビッグデータを構築する(図1)。これによりドローン空撮画像のピクセル値に対応する含水率データを15~60倍程度まで増やすことができ、土壌含水率と空撮画像の関係についての機械学習が可能になる。
3.本成果で用いたデータセットでは、15~40程度のピクセルがバッファに内包される場合(バッファサイズにして1~2m程度)に高い推定精度が得られる(表1)。一方、バッファが小さいと学習データが不足し、バッファが大きいと範囲内の含水率が均一という仮定が成立しないため、良い推定精度は得られない。
4.機械学習(ランダムフォレスト回帰)により算出されたモデルを空撮画像に適用することで、圃場内の含水率地図が作成される(図2)。含水率の実測値と推定値の関係(図3:左)は、本モデルが圃場内の含水率を精度高く推定することを示す。一方、データ拡張を行わない場合に利用される手法の一つである重回帰分析では、高い精度は得られない(図3:右)。
5.本手法ではランダムフォレスト回帰を利用したため、含水率の推定には、熱赤外画像とDSM(Digital Surface Model)画像が重要であることが理解できる。
成果の活用面・留意点 1.十分な推定精度を得られるのは実際にドローンで撮影した時刻および場所での含水率を学習させた場合である。他の場所や異なる時間帯で同様の空間推定を行いたい場合は、その都度、地上での含水率測定と画像撮影が必要になる。
2.ドローンの飛行高度やセンサの解像度によってバッファに含まれるピクセル数は変化するため、観測条件および機材によって適切なバッファサイズを検討する必要がある。
3.今回は含水率への適用事例だが、本手法は他の土壌理化学性指標にも応用でき、面的データに基づく施肥管理技術の開発に貢献する。
図表1 244773-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2020/niaes20_s07.html
カテゴリ 管理技術 湿害 施肥 ドローン ブロッコリー

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