タイトル | 土壌埋設用セシウム吸着シートを用いた玄米の放射性セシウム吸収量推定 |
---|---|
担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター |
研究期間 | 2014~2019 |
研究担当者 |
井倉将人 吉川省子 松岡宏明 杉山恵 江口定夫 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 市販の亜鉛置換体プルシアンブルーシートを親水性メンブレンフィルターで被覆し、水稲栽培土壌に2週間埋設してシートに吸着した放射性セシウム量(溶存態放射性セシウム量)を測定する。得られた溶存態放射性セシウム量から玄米の放射性セシウム濃度を推定することができる。 |
キーワード | 溶存態放射性セシウム、亜鉛置換体プルシアンブルーシート、玄米、セシウム吸収 |
背景・ねらい | 作物が吸収する放射性セシウム(Cs)量を予測するには、作物が吸収しやすい土壌溶液中の溶存態放射性Cs濃度が重要な指標となるが、農地からの土壌溶液の採取や濃縮には多くの労力が必要である。そのため栽培土壌にCs吸着シートを埋設し、溶存態放射性Cs量を直接測定することで玄米の放射性セシウム吸収量を推定する。 |
成果の内容・特徴 | 1.本成果では、推定に多大な労力を要する農地土壌中の溶存態放射性Csを、簡便に推定する方法を提案する。 2.本手法で用いる土壌埋設用Cs吸着シート(以降、埋設シート)は、亜鉛置換体プルシアンブルーシートを親水性メンブレンフィルター(孔径0.2μm)およびポリエチレンシートで被覆し、プラスチック枠で固定することによって構成される(図1)。親水性メンブレンフィルターおよびポリエチレンシートで被覆することにより、土壌中の放射性Csのうち溶存態放射性Csのみをシートに吸着させる。 3.株間の作土層中央(作土15cm厚の場合は埋設シート上端を5cm深とする)に2週間埋設し(図2)、埋設シートに吸着した溶存態放射性Csとしての137Cs量をゲルマニウム半導体検出器等で測定する。水稲ではプレートの埋設時期は施肥後の栽培初期が適している。 4.水田土壌中から回収した埋設シートに吸着した137Cs量が多いほど玄米中の137Cs濃度は高まり、両者には相関関係がみられる(相関係数r=0.98、1%水準で有意)(図3)。 5.得られた溶存態放射性Cs量と図3の関係式から玄米中の137Cs濃度を推定する。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:復興に取り組む関係省庁および自治体 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:福島県を中心とした東北地方および関東地方の一部 3.その他: 留意点として、埋設シートによる放射性Cs吸着量は土壌水分含量の影響を受けるため、湛水条件下で実施する。また、土壌中の交換性カリウム濃度が低い場合(10 mgK2O/100g未満)、玄米中の137Cs濃度が上昇する場合があり、シート埋設の際に土壌を採取し、交換性カリウム濃度測定しておくことが望ましい。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2020/20_066.html |
カテゴリ | 水田 水稲 施肥 |