効率的な遺伝解析及び特性評価を可能にするギニアヤム多様性研究材料の選定

タイトル 効率的な遺伝解析及び特性評価を可能にするギニアヤム多様性研究材料の選定
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2020
研究担当者 山中愼介
村中聡
高木洋子
PACHAKKILBabil
GIRMAGezahegn
松本亮
ASIEDURobert
TAMIRUMuluneh
寺内良平
発行年度 2020
要約 西アフリカで最も重要な作物の一つであるギニアヤムについて、遺伝解析及び特性評価を容易にし、効率的な育種及び栽培研究を可能とする、遺伝的多様性を保持した多様性研究材料セット102系統を選定した。
キーワード ヤム 遺伝資源 SSRマーカー 多様性
背景・ねらい アフリカではヤムが主食として広く栽培され(図1)、「ヤムベルト」と呼ばれる西アフリカのギニア湾岸一帯で、世界の生産量の約95%(5,400万トン)が生産されている。特にギニアヤム(Dioscorea rotundata)は、この地域の食生活に欠かすことのできない重要な主食作物かつ農家の主要な換金作物である。ギニアヤムは、1)長い生育期間、2)長大な植物体サイズ、3)地下部が利用対象、等の理由から多数の遺伝資源を用いた栽培試験や調査が難しく、生産性や品質向上に向けた育種及び栽培研究が進んでいない。本研究では、ギニアヤム遺伝資源の遺伝的多様性を十分に包含し、かつ効率的な遺伝解析及び特性評価に適した集団サイズの多様性研究材料を選定する。
成果の内容・特徴 1.国際熱帯農業研究所(IITA)のギニアヤム遺伝資源のコアコレクション447系統から、16個の単純反復配列(Simple Sequence Repeat: SSR)マーカー(平成27年度国際農林水産業研究成果情報B05「ヤム遺伝資源多様性解析のためのSSRマーカーの開発」)による多型解析により、元の集団(447系統)に含まれる変異(対立遺伝子)の9割以上を保持するように102系統を選抜し、ギニアヤム多様性研究材料セット(D. rotundara Diversity Research Set: DrDRS)を作成した。
2.DrDRSは元集団のSSR多型の変異を広くカバーし(図2)、ギニアヤム遺伝資源の持つ遺伝的多様性を十分に包含している(表1)。
3.21個の形態形質に関する、変異の多様性を示す指標(Shannon指数)において、DrDRSは元集団と同等の変異を有する(DrDRS:1.138、元集団:1.114)。
4.基礎的な農業特性について、DrDRSでは、IITA育種プログラムが有用素材として使用している育種系統および在来品種10系統を超越する多様性が確認でき、新たな育種素材としての利用が可能である(図3)。
成果の活用面・留意点 1.ギニアヤム遺伝資源の遺伝解析や特性評価への利用を通じて、ギニアヤムの遺伝及び栽培研究の効率化が期待できる。
2.ヤムゲノム情報(平成29年度国際農林水産業研究成果情報B02「ギニアヤムのゲノム情報の解読および性判別マーカーの開発」)と組み合わせることで、形質関連遺伝子の特定やマーカー開発への寄与が期待できる。
3.447系統の多様性解析で得られた多型データは、ヤム品種識別技術(令和元年度国際農林水産業研究成果情報B03「SSRマーカーを利したホワイトギニアヤム品種識別技術パッケージ」)の遺伝子型のデータベースに収録され、各ギニアヤム生産国の品種識別情報や地域の遺伝資源の多様性評価の基準系統として貢献できる。
4.選定した102系統はIITA遺伝資源センターから遺伝資源として配布が可能である。これらの系統のクローンは現在ウイルスフリー化して提供する体制を進めている。
図表1 244813-1.png
図表2 244813-2.png
図表3 244813-3.png
図表4 244813-4.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_b03
カテゴリ 育種 遺伝資源 データベース 品種 むべ

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