スーダンサバンナにおけるササゲ生産を広範囲で改善するための品種選抜法

タイトル スーダンサバンナにおけるササゲ生産を広範囲で改善するための品種選抜法
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 井関洸太朗
伊ヶ崎健大
BATIENOJoseph
発行年度 2020
要約 ササゲの収量は狭い地域内でも場所や年によって大きく変動するが、土壌型と降水量によって栽培環境を分類し、環境間の収量安定性にもとづいて品種を選抜することで、広範囲における平均収量の改善に向けた効率的な育種および品種利用が可能となる。
キーワード スーダンサバンナ ササゲ 乾燥 湿害
背景・ねらい マメ科作物のササゲ(Vigna unguiculata)は西アフリカのスーダンサバンナ(年平均降水量が600~900 mmの半乾燥地)において重要なタンパク質供給源および現金収入源である。しかし、その平均収量はアジアや北米の半分以下と極めて低い。現地の育種機関ではササゲの収量改善に向けた品種選抜が続けられているが、栽培環境によって収量が大きく変動することが適正品種の選抜を困難にしている。よって、品種選抜を効率的に行うためには、この収量変動を説明する環境要因を明らかにする必要があるが、これまでのところ十分な情報は得られていない。地理的要因に関しては、現地の土壌は川からの距離に応じて数百m程度でも物理及び化学的性質が大きく変化する。さらに、主流である無施肥栽培において収量形成に重要な役割を果たす窒素固定は土壌水分量の影響を受けやすいため、保水性などの土壌物理性および降水量の違いが生育や収量に強く関係すると予想される。そこで、収量変動要因として土壌型と降水量の年次変動に着目し、両者に対するササゲの応答を明らかにするともに、生産改善に向けた効率的な品種選抜法を検討する。
成果の内容・特徴 1.試験対象地では互いに400600 m離れた場所において、スーダンサバンナで優占する3つの土壌型(①、②、③)の圃場が存在する(図1)。これらの圃場を栽培試験に用いることで、ササゲの生育、収量に対する土壌の影響を同一の気象条件下で評価することができる。
2.高い収量を得る品種は土壌型によって異なり、同じ土壌型でも栽培年により異なる(図2)。多雨年の2016年は土壌型に関わらず品種Jの収量が高いが、平年並みの降水量であった2017年は土壌型①では品種P、土壌型②では品種N、土壌型③では品種Lの収量が最も高い。
3.土壌型と栽培年の降水量を要因として環境を分類し、環境間の安定性と品種の基本収量(環境以外の要因による収量で、計算によって求めた値)を基準にすることで土壌型や降水量の影響を受けにくく、収量が比較的高い品種を選抜することができる(図3の品種Gと品種P)。
成果の活用面・留意点 1.環境の定義に使用した土壌型はスーダンサバンナで広範囲に分布するため、今後、同地域内における降水量の異なる地点に対して同解析法を適用することで、地域を包括したササゲ品種の最適な割り当てを行うことができる。
2.農村レベルの狭い地域内における土壌型の分布や降雨パターンを考慮した品種の使い分け指針の提供にも利用可能である。
3.安定性の解析にもとづく品種選抜に加え、施肥や畝立てなど、土壌型に応じた栽培管理を組み合わせることで、収量のさらなる向上と安定化が期待できる。
4.本手法を品種選抜に適用する際には、複数年の栽培試験を行うことにより対象地域における降水量の年次変動幅を包含するデータセットを得る必要がある。
図表1 244814-1.png
図表2 244814-2.png
図表3 244814-3.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_b04
カテゴリ 育種 乾燥 栽培技術 ささげ 湿害 施肥 品種

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