キヌア自殖系統コレクションの多様性

タイトル キヌア自殖系統コレクションの多様性
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 小林安文
藤田泰成
水野信之
藤田美紀
福田将太
田中孝二郎
田中努
水越裕治
西原英治
安井康夫
発行年度 2020
要約 136のキヌア自殖系統コレクションを作出し、それらの遺伝子型と表現型の連関解析から多様性を明らかにすることにより、自殖系統を基盤とした分子レベルでの育種の効率化、およびキヌアの高い環境適応性や優れた栄養特性の解明に活用できる。
キーワード キヌア 自殖系統 Genotyping-by-Sequencing 耐塩性
背景・ねらい キヌアは干ばつや塩害など高い環境適応性と必須アミノ酸やミネラルなどバランス良く豊富に含む優れた栄養特性を示す作物である。気候変動への対応や強固な食料安全保障の構築に、作物の多様性を保全することが求められており、キヌア遺伝資源から農業上有用な形質をもつ系統や遺伝子を活用した品種開発が期待されている。しかしながら、キヌアは一つの株に両性花と雌花をもち、他の個体との交雑しやすい特性と祖先種に由来する2種の類似したサブゲノムをもつため、ゲノム構造が複雑であり、高精度な遺伝子型解析の妨げとなっている。これまでに、分子レベルでの解析に適した遺伝的に均質なキヌアの標準自殖系統を開発し、キヌアのゲノム配列を世界に先駆けて解読した(平成28年度国際農林水産業研究成果情報「キヌアの標準自殖系統とゲノム配列」)。本研究では、キヌア136系統の網羅的自殖系統コレクションを作出し、それら系統の遺伝子型および表現型の関連性の全体像を把握することで、遺伝子レベルでの育種および研究を効率化することが期待できる。
成果の内容・特徴 1.作出した世界の主要なキヌア系統を網羅する136の自殖系統コレクションは、キヌアの分子育種や、キヌアの高い環境適応性や優れた栄養特性の解明に向けた研究の基盤素材となる。
2.136の自殖系統について、次世代シークエンサーを利用したシーケンシングによるジェノタイピング(Genotyping-by-Sequencing; GBS)解析で得られた一塩基多型(single nucleotide polymorphism; SNP)の遺伝子型データを用いた系統間の類縁度から、キヌア系統は南米アンデス地域での地理的な分布とほぼ対応する北部高地型、南部高地型、低地型の3種類の遺伝背景をもつ系統に分類できる(図1)。
3.136の自殖系統の遺伝子型データおよび耐塩性および作物生育に関する表現型データを可視化することにより、遺伝子型-表現型の関連性を俯瞰できる。収量、草丈、茎径、開花日数などから、低地型系統は日本を含めた温帯での栽培に適している。南部高地型および低地型系統は、海水相当の塩濃度条件での発芽率が高く、北部高地型系統よりも耐塩性である(図2)。
成果の活用面・留意点 1.食料安全保障の観点から重要となるストレス耐性、収量安定性、高栄養価なキヌア品種の開発が加速する。
2.GBS解析でのSNPsに基づいた同一の遺伝子型でも、異なる環境では異なる表現型を示すため、さまざまな環境要因に対するキヌア系統の表現型データを集積する必要がある。
図表1 244818-1.png
図表2 244818-2.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_b08
カテゴリ 育種 遺伝資源 品種 品種開発

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