イネいもち病防除のための国際判別システム

タイトル イネいもち病防除のための国際判別システム
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 福田善通
斎藤大樹
小原実広
柳原誠司
林長生
発行年度 2020
要約 アジアおよびアフリカで得られたイネいもち病菌菌系の病原性およびイネ遺伝資源の抵抗性に関する遺伝的変異の情報をもとに開発した国際判別システムは、いもち病抵抗性品種の開発や防除に活用できる。
キーワード イネ いもち病菌レース 抵抗性 判別システム 遺伝変異
背景・ねらい いもち病はイネが栽培されるすべての地域で発生する重要な越境性病害であり、抵抗性品種の利用は有効な防除技術の一つである。イネいもち病菌菌系の病原性やイネ遺伝資源の抵抗性遺伝子の効果を評価できる判別システムは、抵抗性品種の育成や発生防除にとって不可欠な道具であるが保有する国は少ない。このためアジア、アフリカのいもち病害を引き起こす菌レース(病原性の異なる菌系)やイネ品種の抵抗性変異を明らかにしつつ、判別システムの開発途上地域での開発・普及を図ることにより、地域ごとあるいは国際的な防除技術開発のための基盤を確保する。
成果の内容・特徴 1.国際農研がアジア、アフリカから収集し選定した国際標準判別いもち病菌菌系群、判別品種群は、ともに国際判別システムを構成し、イネ品種の抵抗性遺伝子や抵抗性、いもち病菌菌系の病原性の評価を一元的に行うことを可能とし、国際基準とすることができる(表1)。
2.判別システムでは、菌系の病原性や品種の抵抗性遺伝子をこの反応パターンから推定し、いもち病抵抗性品種や防除技術開発に活用できる。
3.インドネシア、フィリピン、ベトナム、ラオス、バングラデシュでも、標準判別いもち病菌菌系群が選定されており、独自の判別システムを保有しそれぞれで利用できる。
4.中国産日本型の感受性品種「Lijiangxintuanheigu(LTH)」の遺伝的背景に一つの抵抗性遺伝子だけを導入した25種の判別品種群を共通材料として用いることにより、各国のいもち病菌レースの変異や世界的規模での多様性の解明が可能である(図1)。
5.例えば、いもち病菌レースの多様性は日本で小さく、中国南部(雲南省)からバングラデシュの地域で最も大きく、それはイネ遺伝資源の抵抗性変異に対応している(図1)。
6.この様ないもち病菌レースの分布は、品種の抵抗性や特定の抵抗性遺伝子が利用されている栽培生態型と対応関係があり、遺伝子対遺伝子説で説明できる。
成果の活用面・留意点 1.国際判別システムの利用により真性および圃場抵抗性遺伝子などの正確な効果の評価が可能になり、それらの効果的な利用法が明らかとなる。いもち病防除技術開発のための基盤が確保でき、抵抗性品種の利用を含む適切な防除を通じて、アジア、アフリカに限らず他の地域においても、農薬使用を低減した環境調和型農業に貢献できる。
2.各国・地域で育種・植物病理学研究の利用のためには、植物防疫上の制約により、国際判別システムとは別に、独自の標準判別いもち病菌菌系群の選定とシステムの開発が必要である。
3.国際標準判別いもち病菌菌系は、広く多様な病原性をもつものを日本、フィリピン、バングラデシュ、ベニン、ナイジェリア、ラオス、インドネシア、中国産から選定されたが、各国のものも含めて菌系の病原性の確認を定期的に行う必要がある。
図表1 244821-1.png
図表2 244821-2.png
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_b11
カテゴリ 育種 遺伝資源 いもち病 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 農薬 品種 防除

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