民間のREDDプラスの取組みを政府が適切に評価するための手法を開発

タイトル 民間のREDDプラスの取組みを政府が適切に評価するための手法を開発
担当機関 (国)森林総合研究所
研究期間 ----
研究担当者 江原 誠
齋藤 英樹
道中 哲也
平田 泰雅
発行年度 2020
要約 民間のREDDプラスプロジェクトを推進するため、プロジェクト活動による温室効果ガスの排出削減 ■ プロジェクトが独自に設定した森林参照レベル成果を、国全体の成果の一部として適切に位置づけるための手法が求められています。本研究では民間によるREDDプラスプロジェクトが開始されたカンボジアを対象に、プロジェクトの活動の成果を国の成果と整合性を保った上で評価する手法を開発しました。具体的には、国の森林参照レベルを、プロジェクト内・周辺の森林面積、森林タイプの構成比率、過去の森林減少傾向、人口密度といった立地条件の違いを考慮して、プロジェクトに配分する手法です。この手法は、カンボジア以外のREDDプラスを実施する国においても適用可能です。
背景・ねらい  REDDプラスは、途上国での森林減少・森林劣化の抑制等による気候変動の緩和効果に対して、何らかの経済的インセンティブを与えるメカニズムです。国のREDDプラスの成果は、REDDプラスを実施しなかった場合の全国の森林減少・劣化の進行度合を予測し、これを森林参照レベルと呼ばれる温室効果ガス排出量(tCO2/年)に換算し、この森林参照レベルをREDDプラス実施後の排出量(tCO2/年)と比較することにより評価されます。我が国が進める二国間クレジット制度(JCM)での民間のREDDプラスプロジェクトの成果も、この国レベルの評価枠組みの中で評価されます。しかし、民間のプロジェクトが入るエリアの立地条件と森林減少・劣化の進行度合いは全国平均と異なる場合があるため、全国の森林参照レベルの値をそのまま用いると民間の取組みによる成果を過小または過大に評価する恐れがあります。
成果の内容・特徴 ■REDDプラスプロジェクトの成果を評価する手法の開発 
JCMの下で民間のREDDプラスプロジェクトが開始されたカンボジアを対象にプロジェクトの成果を評価する手法を開発しました。民間のプロジェクトの成果を国レベルの成果と整合性を保った上で適切に評価するため、プロジェクトエリア内および周辺地域の2006年の森林面積、森林タイプの構成比率(常緑樹林、常緑落葉混交林、落葉樹林)、過去(2006~2014年)の森林減少傾向、2008年の人口密度といった立地条件の違いを考慮しました。そして、国の森林参照レベルを、プロジェクトエリア内の一時点の①森林面積と②森林炭素蓄積、プロジェクト内および周辺の二時点間の③森林面積変化と④森林炭素蓄積変化の4変数を用いてプロジェクトに配分し、それぞれの配分結果を吟味して配分手法を選択できるようにしました。 カンボジア政府は、過去の森林減少・劣化の傾向を参考に国の森林参照レベルを設定しています。この考え方と最も辻褄が合う配分手法は、④の変数を用いた手法ですが、データ収集・解析に比較的コストがかかる手法となります。一方、①または②の変数を用いる手法は、これらのコストは低くなりますが、データ収集時点で森林面積が広大な、または炭素蓄積の豊富な森林地帯の保全に成功したプロジェクトに有利な手法となります。 さらに、プロジェクト周辺の直近(2014~2016年)の森林が減少するリスクを考慮して配分量に重みづけをするため、森林減少リスクを評価するマップを作成する手法も開発しました。これらの手法は、カンボジアでのREDDプラスの評価システム設計に活用されています。
■研究資金と課題 
本研究は林野庁補助事業「REDD+民間推進体制整備事業」による成果です。
■専門用語
二国間クレジット制度(JCM):我が国の優れた低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラ等を途上国に普及させ、対策を実施することを通じて実現した温室効果ガス排出削減量を定量的に評価し、その一部を我が国の削減目標の達成に活用するための制度。REDDプラス:途上国が行う森林減少・森林劣化を抑制する取組みによるCO2の排出削減、森林保全等(「プラス」活動)によるCO2の排出防止および炭素固定による大気中のCO2の削減に対して、何らかの経済的インセンティブ(資金やクレジット)を与えるメカニズム。森林参照レベル: REDDプラスを実施しなかった場合の森林減少・劣化の進行度合を予測し、これを温室効果ガス排出量(tCO2/年)に換算したもの。
図表1 244838-1.png
図表2 244838-2.png
研究内容 https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2020/documents/p14-15.pdf
カテゴリ コスト

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