タイトル | 原料投入の工夫で木材チップ製造の省エネルギー化と低コスト化を達成 |
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担当機関 | (国)森林総合研究所 |
研究期間 | ---- |
研究担当者 |
藤本 清彦 伊神 裕司 吉田 貴紘 佐々木 達也 高野 勉 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 木質バイオマスをエネルギーとして利用する際の燃料の1つに木材チップがあります。木材チップは丸太や廃木材から製造されますが、製造工程はできるだけ効率的であることが求められています。そこで、チップ製造機(ディスクチッパー)に投入する材料の寸法と密度(樹種)を変えて試験製造を行った結果、投入する材料の寸法や密度が大きいほど省エネルギーかつ低コストになることが分かりました。この成果は原料をできるだけ大きい状態で投入すればよいことを示しており、原料投入を工夫するだけでよいため、チップ製造を行っている事業者が導入しやすい手法です。 |
背景・ねらい | 地球温暖化などの環境問題から化石燃料の消費量削減などが求められており、低質丸太や廃木材など木質バイオマスのエネルギー利用が進められています。木質バイオマスをエネルギーとして使う場合、機械によって小さく砕いて木材チップにしてから使用することが多いのですが、この砕く工程での省エネルギー化、低コスト化が強く求められています。しかし、これらの目的のために新しい機械を購入することは事業者の大きな負担になります。そこで、事業者がすでに所有しているチップ製造機械を用いて、原料の投入を工夫するだけで省エネルギー化、低コスト化を達成できるように、原料の寸法や密度(樹種)がチップ製造時のエネルギーやコストに及ぼす影響について検討しました。 |
成果の内容・特徴 | ■原料が大きいほどチップ製造で消費するエネルギーが減少 原料として密度の異なる3樹種(ヒノキ:密度498kg/m3、カラマツ:同521kg/m3、クヌギ:同812kg/m3)を用意しました。実際のチップ製造現場では、丸太など不定形のものも扱いますが、ここでは寸法の影響がよくわかるように製材品を用いました。 原料をチップ製造機械(ディスクチッパー)に投入してチップを製造(図1)し、1時間あたりのチップの製造量、チップ1トンあたりの製造エネルギーを求めました。その結果、1時間あたりのチップの製造量は、原料の寸法、密度が大きくなるにつれて上昇することがわかりました(図2)。また、チップ1トンあたりの製造エネルギーは原料の寸法が大きいほど減少することがわかりました(図3)。樹種別では小さい順にクヌギ<カラマツ<ヒノキになっており、原料の密度が大きいほど製造エネルギーが小さくなることがわかりました。チッパーの能力の限界はありますが、可能な限り寸法および密度の大きな原料を用いた方が製造エネルギーを抑えたチップ製造ができます。 ■原料投入の工夫でチップ製造の低コスト化を達成 今回の試験結果などからチップ製造にかかるコストを計算しました(表1)。原料の寸法や密度が大きいほど製造コストは減少しました。新しい機械を購入しなくても原料投入の工夫によってチップ製造の低コスト化を達成できることがわかりました。 ■研究資金と課題 本研究は、実施課題「効率的な木質バイオマスエネルギー利用システムの提示」による成果です。 ■文献 藤本清彦(他)(2020)木材のチップ化エネルギーおよびコストに及ぼす原料寸法および樹種の影響, 森林総合研究所研究報告(印刷中) ■専門用語 木材チップ(チップ):2~3cm角程度の薄板状の小さな木材。ディスクチッパーなどによって製造される。ディスクチッパー:木材チップを製造する機械の1つ。刃物を取り付けたディスクを高速で回転させ、そこへ丸太や製材品を投入して木材チップを製造する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
研究内容 | https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2020/documents/p26-27.pdf |
カテゴリ | コスト 省エネ・低コスト化 低コスト バイオマスエネルギー |