東北海域の動物プランクトン群集の時空間変動とその環境要因

タイトル 東北海域の動物プランクトン群集の時空間変動とその環境要因
担当機関 (国研) 水産研究・教育機構 水産資源研究所 水産資源研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 田所和明
岡崎雄二
葛西広海
黒田寛
谷内由貴子
桑田晃
発行年度 2020
要約 水産資源の主要な餌料である動物プランクトン群集の東北海域における時空間変動と環境要因を長期間の定線観測で得られた動物プランクトン群集の種組成データを用いて解析した。その結果、動物プランクトン群集は、大きく4つのグループにより構成され、各グループが出現する季節と海域、出現海洋環境が明らかにされた。得られた成果は、今後の資源変動機構の解明に向けた研究への活用が期待される。
背景・ねらい マイワシ・マサバなど多くの重要水産資源の漁場である東北海域は、我が国の水産資源変動機構の解明の鍵となる重要な海域である。水産資源の評価・管理の精度向上のためには、この海域での餌料環境の変動を考慮した資源変動機構の解明が不可欠である。本研究では、魚類の主要な餌料である動物プランクトンについて、どのような群集が「いつ、どこに、どのような海洋環境と関係を持ちながら分布しているのか?」東北海域の動物プランクトン群集の時空間変動を定量的に明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴 解析には、北海道から東北海域にわたる観測定線A-line上で年5回継続的に行っている海洋環境モニタリング観測で得られた2007年から2017年までの長期間の動物プランクトン群集データを用いた。東北海域における動物プランクトンの群集構造を調べるため、動物プランクトン群集の種組成の解析を行った。その結果、当海域の動物プランクトン群集は、大きく4つのグループにより構成されており、グループ1と2は冷水性カイアシ類、グループ3は暖水性ウミタル・カイアシ類と冷水性カイアシ類、グループ4は暖水性のミジンコ・ウミタル・カイアシ類で構成されていることが明らかとなった。次に各グループの出現季節と水塊を解析した結果、グループ1は冬季から春季の親潮域、グループ2は春季から夏季の親潮域、グループ3は冬季から夏季の混合域と秋季の親潮域、グループ4は黒潮域と夏季から秋季の混合域に出現することが明らかとなった。更に各グループの出現と海洋環境の関係を解析した結果、グループ1 は高栄養塩で低水温環境、グループ2は低塩分で植物プランクトンが多い環境、グループ3は栄養塩等の条件が中間的な環境、グループ4は高水温・高塩分で植物プランクトンが少ない環境で出現していることが明らかとなった。
成果の活用面・留意点 動物プランクトンは魚類の主要な餌料であり、本研究で明らかにされた水塊に伴う海洋環境の違いによる動物プランクトン群集の違いは、直接的に魚類資源に餌料の質の違いとして影響を与える。この動物プランクトン群集の組成と環境要因との関係の理解は、資源変動機構の解明に向けた研究に活用が期待される。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=10034&YEAR=2020
カテゴリ モニタリング

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