タイトル | ドローンを活用したカワウ繁殖抑制技術の開発 |
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担当機関 | (国研) 水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 |
研究期間 | 2017~2019 |
研究担当者 |
坪井潤一 |
発行年度 | 2020 |
要約 | カワウによるアユ等の食害を軽減するため、ドローンを使って、樹上のカワウの巣内にドライアイスを投入し、繁殖を抑制する技術を開発した。3Dプリンターで作成した投入装置を用い、40巣にドライアイスを投入したところ、37巣で繁殖を完全に抑制できた。かかった費用53万円に対し、アユ食害軽減効果は128万円と推定され、費用対効果は2倍以上であった。 |
背景・ねらい | 大型の魚食性鳥類カワウによるアユなど水産重要種の食害が深刻化している。カワウの個体数管理のための手法として繁殖抑制があるが、カワウは卵を取り除くだけでは、再び産み足してしまう。そのため、何らかの処理によって、卵の発生を止め、親鳥にふ化しない卵を抱卵させることが必要となる。 繁殖抑制の手法として、ドライアイスを巣内に投入し、卵の一部を凍らせる手法が知られている。しかし、三脚を使って手作業でドライアイス投入を行うと、カワウは人の手の届かない高所に営巣するようになり、それが対策の足かせになっていた。 本研究では、ドライアイスを用いた卵冷却による繁殖抑制にドローンを導入することで、高所やアクセスの悪い場所における繁殖抑制を可能にするための技術開発を行った。 |
成果の内容・特徴 | 巣に接触することで自動的に底が抜ける投入容器を設計し、3Dプリンターで作製出来るようになった。その結果、大幅な経費削減と軽量化に成功した(図1)。それに伴い、小型の汎用機ドローンによるドライアイスの投入が可能となった。 2019年3月から4月にかけて、栃木県矢板市にあるカワウの繁殖コロニーにおいて、開発した装置を用いて繁殖抑制対策の現地実証試験を行ったところ、処理を行った40巣のうち37巣で繁殖を完全に抑制することができた(図2)。 ドローン本体やドライアイスなど繁殖抑制にかかった経費は53万円となった。一方、カワウの胃内容物調査から、繁殖抑制によって1巣あたり3.5万円分のアユを守ることができると推定された。したがって、本研究の繁殖抑制による食害抑制効果は128万円と試算され、2倍以上の費用対効果があると推定された。 |
成果の活用面・留意点 | 令和2年2月に普及マニュアルを作成し、水産庁のホームページに掲載するだけでなく、冊子版として1,100部を印刷し、全国の水産試験場や内水面漁業協同組合に配付した。 福島県、栃木県、静岡県、広島県及び島根県では、すでにドローンを使ったドライアイス投入による繁殖抑制が行われており、今後は他の地域でも普及することが期待される。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=10079&YEAR=2020 |
カテゴリ | ドローン 繁殖性改善 汎用機 |