タイトル | 凍結・解凍さば類の非破壊脂質評価手法の高度化 |
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担当機関 | (国研) 水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 |
研究期間 | 2018~2020 |
研究担当者 |
木宮隆 木村優輝 竹内萌 角勇悦 大村裕治 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 加工原料となる凍結・解凍さば類に対応できる非破壊脂質計測技術の開発を目的として、インライン近赤外分光装置を用いてさば類の光吸収データ(近赤外スペクトル)の非接触測定を行った。得られたスペクトルデータの解析により、魚体の凍結、半解凍、解凍の状態を識別できることを見出した。また、凍結、半解凍、解凍それぞれの状態のさば類の脂質含有率を推定可能であった。 |
背景・ねらい | 1. 魚離れなどを要因とした魚価低迷が続く中で、脂乗りの良い魚など消費者が求める高品質な水産物を安心して購入できる環境づくりが求められている。 2. 近赤外分光法は、「光センサー」として青果物の糖度計測に広く用いられる非破壊計測技術で、水産物(魚類)の脂質計測にも実用化されつつある。水産分野でのAIやICTの活用に向けて、品質を迅速にデータ化する技術として注目されており、これまでに、この技術を用いて生のさば類の脂質を非破壊で計測する技術を開発した(「八戸前沖さばブランド力向上復興促進事業」、青森県、平成27?29年度)。 3. 本研究では、しめさば、塩さば、さば缶などのさば類加工品製造には、凍結・解凍原料が用いられることが多いことに着目し、加工原料となる凍結・解凍さば類に対応できる非破壊脂質計測技術を開発した。 |
成果の内容・特徴 | 1. インライン近赤外分光装置(株式会社ニレコ製QG100)を用いて、ベルトコンベア上を移動するラウンドのさば類の光吸収データ(近赤外スペクトル)の測定を非接触で行った(図1)。その結果、凍結、半解凍、解凍のいずれの状態でも脂質含有率推定に利用可能なスペクトルデータが得られることを確認した。 2. 得られたスペクトルデータの詳細な解析により、魚体の凍結、半解凍、解凍の状態を識別できることがわかった(図2)。 3. 近赤外スペクトルから凍結、半解凍、解凍それぞれの状態のさば類の脂質含有率を推定できることがわかった(表1)。開発した非破壊的かつ非接触での評価技術を活用して、水産加工企業である株式会社ヤマヨ(八戸市)と協力し、脂質などの原料の情報を付与したさば類加工品の開発を進めている。併せて、更なる状態識別精度向上に向けて、データの収集・解析を続けている。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 脂質含有率の評価は、原料仕向けの適正化や製品の高付加価値化への活用が期待される。 2. 原料の凍結~解凍状態の識別は、加工工程の最適化への活用が期待される。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=10045&YEAR=2020 |
カテゴリ | ICT 加工 高付加価値 評価法 |