臨床型乳房炎乳より分離されたウベリスレンサ球菌の分子疫学解析でみる伝播様式

タイトル 臨床型乳房炎乳より分離されたウベリスレンサ球菌の分子疫学解析でみる伝播様式
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門
研究期間 2017~2021
研究担当者 渡部淳
後藤伸也
長澤裕哉
林智人
秦英司
河合一洋
小山芳一
発行年度 2021
要約 牛の臨床型乳房炎から分離されるウベリスレンサ球菌には多様なシークエンスタイプが存在するが、農場内で分離される菌株が同一シークエンスタイプを示すことから、本菌は農場内で搾乳環境等を介し、伝播する可能性がある。
キーワード ウベリスレンサ球菌、乳房炎、シークエンスタイプ、分子疫学
背景・ねらい 主要な乳房炎原因菌の一つであるウベリスレンサ球菌(Streptococcus uberis)による乳房炎は発症を繰り返して難治性乳房炎になることがあるため、酪農経営の大きな問題となっているが、日本における乳房炎乳由来ウベリスレンサ球菌株の分子疫学解析は行われておらず、伝播様式は十分に解明されていない。
本研究では、本菌の臨床型乳房炎由来株についてmultilocus sequence typing (MLST)を行い、シークエンスタイプ (ST) の分布から本菌の伝播様式を明らかにする。
成果の内容・特徴 1. 日本の臨床型乳房炎乳由来ウベリスレンサ球菌82株はMLST解析において、多様なST(96%は新規ST)および小サブグループに分かれるなど、それぞれの農場環境中に分布して感染源となる病原菌の特徴を現す(図1)。このことからウベリスレンサ球菌性乳房炎の発症は環境由来菌株の感染が主な原因とみられる。
2. 複数の分離株が得られた11農場のうち5農場で、農場内の複数の分離株が同一のSTに属する例がみられることから、本菌は農場内で敷料や搾乳器具等を介して伝播する可能性がある。
成果の活用面・留意点 1. ウベリスレンサ球菌は農場環境に棲息する乳房炎原因菌であるが、農場内で搾乳環境等を介して伝播する可能性があるため、当乳房炎の蔓延を防ぐためには、環境の清浄化に加え、感染牛の早期摘発及び健康牛と分別した搾乳管理が重要となる場合が考えられる。
2. 農場内で複数の同一STの株が分離される場合、原因菌が動物間で直接的に伝染する場合、環境や搾乳器具を介して伝播する場合、特定の菌に汚染された環境から感染する場合等、想定される伝播様式は複数あるため、伝播経路の特定は慎重に行う必要がある。
図表1 248947-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/niah/2021/niah21_s23.html
カテゴリ 経営管理 乳牛

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