タイトル | ウイルス性の牛伝染性リンパ腫を迅速・簡便・高精度に診断できるクローナリティ解析手法 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門 |
研究期間 | 2018~2020 |
研究担当者 |
西森朝美 安藤清彦 松浦裕一 熊谷飛鳥 畠間真一 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 本法は、ウイルス感染細胞のクローナリティ解析手法を応用して、ウイルス感染に起因するリンパ腫(EBL)を迅速・簡便・高精度に診断できる手法であり、現場で簡便に実施でき、より正確なEBL診断が可能となる。 |
キーワード | 牛伝染性リンパ腫、クローナリティ解析、インバースPCR法、迅速簡易診断 |
背景・ねらい | 全身性の悪性リンパ腫を主徴とする牛伝染性リンパ腫は、ウイルス感染が原因となるEnzootic bovine leukosis(EBL)と自然発生するsporadic bovine leukosis(SBL)の2 種類が存在する。疾病の発生状況を正確に把握するためには両者の鑑別が重要であるが、現状では困難なケースも少なくない。 EBLの原因病原体であるBovine leukemia virus(BLV)はレトロウイルス科のウイルスで、プロウイルスという状態で宿主細胞のゲノムDNA中に保持される。プロウイルスの挿入部位はランダムに決定されるため、挿入部位近傍にある宿主ゲノムの塩基配列は個々の感染細胞クローンごとに異なっている。EBLは、特定の感染細胞クローンが突然変異を起こして無秩序に増殖する病態であることから、検体中に含まれるBLV感染細胞のクローン比率の解析(クローナリティ解析)はEBL診断に有用である。 そこで本研究では、レトロウイルスの挿入部位を標的とした遺伝子増幅手法であるインバースPCR法を利用し、EBLを迅速・簡便かつ高精度に診断できるクローナリティ解析手法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 酵素反応とPCRを組み合わせたインバースPCR法によって、プロウイルス挿入部位の近傍に存在する宿主ゲノム配列を増幅できる。EBL診断への応用には、同一症例の検体間で共通のバンドが認められることを電気泳動により確認する(図1)。 2. 本研究で開発した手法は、従来のインバースPCR法よりも迅速かつ簡便に検査を実施することが可能である(図2)。 3. 本手法では、EBL診断への応用が報告されている別のクローナリティ解析手法(B細胞クローナリティ検査)と比較して、より精度の高い診断が可能となる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 家畜衛生現場でのEBL 診断において、本手法を用いることでBLV 感染細胞の腫瘍性増殖を評価でき、より正確な診断を行うことが可能である。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/niah/2021/niah21_s15.html |
カテゴリ | 簡易診断 飼育技術 |