タイトル | H5亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスに対するコガモの感受性 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門 |
研究期間 | 2018~2019 |
研究担当者 |
谷川太一朗 佐久間咲希 吉田英二 常國良太 中山ももこ 小林創太 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 野生のコガモは、日本において過去に流行したH5亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスに容易に感染するが、明確な症状を示さない。ウイルス株にかかわらず、感染したコガモはウイルスを一定期間排出する。 |
キーワード | 高病原性鳥インフルエンザウイルス、H5亜型、コガモ、野鳥 |
背景・ねらい | 近年、日本においてH5亜型の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)は2004年から断続的に発生し続けており、その発生を引き起こすウイルスの日本への侵入には大陸から越冬のために渡ってくる野鳥の関与が指摘されている。しかしながら、HPAIウイルスを拡散する恐れのある野生鳥種についてウイルス学的評価を行った報告は少なく、海外の論文では不顕性感染をすると報告されているコガモについては、日本において越冬時期に例年多くの羽数が確認されているにもかかわらず、これまで日本で分離されたウイルス株を用いた検証は行われていない。本研究では、日本において過去に流行したウイルス株を用いてコガモの感染実験を行い、HPAIウイルスに対するコガモの感受性を評価することを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 日本において過去に流行したウイルス6株(表)を野生のコガモにそれぞれ等量(106 EID50)経鼻接種した場合、それぞれのウイルス株は高い確率で感染するが(89-100 %のコガモで抗体陽転またはウイルス排泄あり)、コガモは明確な症状は示さない。 2. 感染したコガモは、総排泄腔よりも気管からのウイルス排出量が多く、ウイルス株にかかわらず一定期間排出し続ける(図)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. コガモは、日本において過去に流行したH5亜型のHPAIウイルスに容易に感染し明確な症状を示さないままウイルスを排泄することから、過去の発生時期において、環境中へのウイルス拡散に関与していた可能性が推測される。 2. HPAI発生に対する注意喚起を行ううえで、越冬のためにコガモが日本に渡ってくる時期や、日本におけるその動向に注視することが重要である。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/niah/2021/niah21_s07.html |
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