テンサイ作業受委託の円滑化には農作業支援組織による情報統合と調整が重要

タイトル テンサイ作業受委託の円滑化には農作業支援組織による情報統合と調整が重要
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2019~2021
研究担当者 藤田直聡
辻博之
発行年度 2021
要約 テンサイの作業受託を円滑に運営している農作業支援組織は、生産者、糖業(集荷業者)、輸送業者と互いに情報共有をする際に、支援組織のマネージャーがそれぞれの情報を統合して作業計画等を示しており、この調整機能が円滑な合意形成に対し重要である。
キーワード 農作業支援組織、生産者、糖業、輸送業者、テンサイ
背景・ねらい 近年の労働力不足で懸念される輪作体系の崩れに対応するため、畑作経営において、コントラクタ等の農作業支援組織(本文中以下、支援組織とする)への委託が検討されている。これまでも、畑作作業を受託する支援組織や共同作業など様々な組織が形成されてきたが、生産者間の日程調整や、支援組織の収穫作業日、生産者の出荷希望日と集荷業者(加工場等)の処理能力等にミスマッチが生じ、撤退した事例が多数存在する。一方、近年稼働を始めたオホーツク管内A町の支援組織では、バレイショ、飼料作物の作業支援に加えて、自走式多畦収穫機等を導入した2017年度より、テンサイの作業受託を開始し、それぞれ円滑に運営している(表1)。そこで、畑作の作業受託を円滑に行うために、支援組織が、生産者、糖業(集荷業者)、輸送業者との情報共有、調整、判断をどのように行っているかを、当組織のテンサイの受託の事例をもとに明らかにする。
成果の内容・特徴 1. テンサイの農作業受委託に関係する支援組織、生産者、糖業、輸送業者の4者は、それぞれ他者の作業計画に必要な情報を有しており、また、自身の作業計画を立てるのに他者の情報提供を受ける必要がある。受託者である支援組織は、受託条件、作業料金等の情報を、委託者である生産者は、営農計画書、圃場図、地図、過去5年間の栽培記録、土壌診断結果、生産履歴等の情報を、糖業は集落ごとの輸送計画を、輸送業者は輸送手段の準備台数等の情報を、それぞれ有している(表1)。
2. 支援組織は、生産者に営農計画書、生産履歴等の情報の提出を求めると同時に、受託条件、作業料金等の情報を提供し、生産者の判断を支援する。また、土壌病害まん延防止の観点から、土壌診断結果をもとに受託圃場を選定するとともに、生産者に向けて、対策の情報を開示する。さらに、支援組織は糖業および輸送業者から提示される輸送計画、輸送手段の確保状況の情報を用いて、作業の時期及び順序等の作業計画を立案して(表2)、生産者と糖業、輸送業者に提示する(図1)。
3. 生産者は、支援組織より提供された受託条件、作業料金等の情報により、委託の可否を判断する。また、情報は育苗、防除等の作業計画立案に活用される(図1)。
4. 糖業と輸送業者は、生産者と支援組織が共有している営農計画書、作業計画より情報を収集する。さらに、独自に収量予測のための生育情報を入手し、輸送計画を作成し、輸送手段を確保する(図1)。
5. 以上のように、上記4者は支援組織を介して情報を共有する。とくに、円滑な合意形成を必要とする収穫等の作業計画、個別の輸送計画は、支援組織のマネージャーが調整した原案を生産者と糖業と輸送業者に示し(図1太矢印)、最終的な合意形成をはかる。これらの調整機能と情報共有のハブ機能を支援組織が担うことが作業実施を円滑なものにしていると考えられる。
成果の活用面・留意点 1. テンサイ支援組織の設立および運営に活用できる。なお、情報共有の支援システムを構築する際には、支援組織が情報にアクセスできるように留意する必要がある。
2. 最終的な支援組織、生産者、糖業、輸送業者間の合意は、支援組織が示す計画を基に4者間で決定しており、調査対象の支援組織は各作業の前後(年4回)に会合を開催していた。
図表1 248981-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/harc/2021/harc21_s05.html
カテゴリ 育苗 加工 経営管理 収穫機 出荷調整 飼料作物 てんさい 土壌診断 ばれいしょ 防除 輸送 輪作体系

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