タイトル | 可溶性炭水化物含量が高く収量性に優れるオーチャードグラス早生品種「わせじまん」 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2004~2019 |
研究担当者 |
藤森雅博 秋山征夫 久保田明人 上山泰史 山田敏彦 田瀬和浩 眞田康治 田村健一 高山光男 谷津英樹 横山寛 |
発行年度 | 2021 |
要約 | オーチャードグラス早生品種「わせじまん」は、「はるねみどり」より可溶性炭水化物(WSC)含量が1.8ポイント高く、3年間合計乾物収量も5%多く、黒さび病に対する耐病性に優れる。栽培適地は、北海道と東北地域などの寒地・寒冷地である。 |
キーワード | オーチャードグラス、可溶性炭水化物、収量、耐病性、早生 |
背景・ねらい | 北海道と東北の基幹イネ科牧草であるオーチャードグラスは、環境耐性と生産性に優れるが、飼料品質がやや低く、その改良が求められている。 イネ科牧草の可溶性炭水化物(WSC)は、家畜の消化性やサイレージの発酵品質と関連があることが知られている。オーチャードグラスではWSC含量を高めた中生品種「えさじまん」が育成されているが、東北地域で主に利用されている早生品種について、新たにWSC含量を高めた品種を育成し、寒地・寒冷地の自給飼料の品質向上を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 出穂始日は「はるねみどり」と同日で、早晩性は"早生"である(表1)。 2. 3か年合計乾物収量は、北海道および東北地域の平均で、両地域とも「はるねみどり」比105と多収である(表2)。 3. WSC含量は、場所および年間をとおして「はるねみどり」より1.8ポイント高い(表1)。東北地域で供試した5品種の中でWSC含量が最も高い(図2)。可消化養分総量(TDN)は、「はるねみどり」より1.7ポイント高い(表1)。サイレージ発酵品質ではVスコアが、「はるねみどり」より6.7ポイント高い(表1)。 4. 越冬性は、「はるねみどり」並みである(表1)。耐寒性は、"やや強~強"で「はるねみどり」よりやや優れ、雪腐病に対する耐病性は"強"で、「はるねみどり」と同程度である(表1)。 5. すじ葉枯病および雲形病に対する耐病性は、「はるねみどり」よりやや優れ、黒さび病に対する耐病性は、「はるねみどり」より優れる(表1、図2)。 6. 草丈は、年間をとおして「はるねみどり」より高い(表1)。東北地域での倒伏程度は「はるねみどり」よりやや高い(表1)。 7. アカクローバ混播における乾物収量(イネ科とマメ科合計)は「はるねみどり」よりやや少ない(表1)。アルファルファ混播とシロクローバ混播では多収である(表1)。 8. 放牧を想定した多回刈と採草放牧兼用利用における乾物収量は、「はるねみどり」並みである(表1)。 9. 採種量は、「はるねみどり」よりやや少ない(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 採草を主体に、放牧および採草放牧兼用にも利用できる。 2. 東北地域では倒伏程度がやや高いので、刈遅れしないようにする。 3. 栽培適地は、北海道と東北地域等の寒地・寒冷地(年平均気温12°C以下の地域)である。種子の販売は、2026年開始を予定しており、普及見込み面積5,000ha、年10tの種子を供給予定。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/tarc/2021/tarc21_s11.html |
カテゴリ | アルファルファ 寒地 耐寒性 品種 |