土壌中交換性放射性セシウム濃度等により玄米中放射性セシウム濃度を推定するモデル

タイトル 土壌中交換性放射性セシウム濃度等により玄米中放射性セシウム濃度を推定するモデル
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2019~2021
研究担当者 矢ケ崎泰海
発行年度 2021
要約 土壌中交換性放射性セシウム濃度および交換性カリ含量の2変数を用いる統計回帰モデルにより平均的な玄米中放射性セシウム濃度を推定する手法である。既出のモデルに比べ、基準値を含む高濃度領域を精度良く推定できる。
キーワード 玄米、放射性セシウム、モデル、土壌中交換性放射性セシウム
背景・ねらい 土壌から玄米への放射性セシウムの吸収については、カリ肥料上乗せ施肥による吸収抑制対策が広く展開され、基準値超過は2015年から6年連続ゼロとなっている。近年は散布労力等のコストが大きい同対策を停止する地域が増え、福島県では検査体制も2020年に被災12市町村を除き全量全袋から抽出へ移行している。一方、カリ肥料無施用で栽培し土壌中交換性カリ含量を人為的に減耗させた現地試験において、一部土壌で放射性セシウムの吸収が高まる事例が検出されている。今後、各地域の土壌の吸収リスクの大きさに応じて玄米を基準値以下とする土壌中交換性カリ含量の必要量を精度良く評価出来れば、同対策を停止した地域や特定復興再生拠点区域等の除染後農地において、地域の状況に応じ最適化した対策を構築できるようになる。
そこで、本研究では土壌分析に基づき玄米中放射性セシウム濃度を推定する既出のモデルを改良することにより、基準値を含む高濃度領域の推定精度を向上したモデルを開発する。
成果の内容・特徴 1. 開発した統計回帰モデル2種を用いて収穫後の土壌中交換性放射性セシウム濃度と交換性カリ含量に基づき平均的な玄米中放射性セシウム濃度を推定できる(図1)。線形モデルは対数スケールで低~高濃度までの広い濃度領域を、非線形モデルは通常の濃度スケールで高濃度領域を推定できる(図2右)。
2. 既出の回帰モデル(図2左)では、玄米の基準値を含む高濃度領域において、モデル推定が過小評価となる問題があったが、本モデルでは玄米中放射性セシウム濃度に基づく重み付け回帰や非線形モデルを導入することにより、高濃度領域における過小評価を解消できる(図2右)。
成果の活用面・留意点 1. 土壌中交換性放射性セシウム濃度および交換性カリ含量を分析することにより、平均的な玄米の放射性セシウム濃度を推定して、吸収抑制対策の実施方針の策定等に役立てることができる。
2. 土壌中交換性放射性セシウム濃度および交換性カリ含量は、1 mol L-1の酢酸アンモニウム溶液による抽出により得た抽出液ろ液中の放射性セシウムおよびカリウムイオンの濃度を定量する常法により求める。いずれも民間分析事業者で定量することができる。
3. 本モデルの構築に供した土壌および玄米の実測データは、農林水産省が実施した調査(2012~2015年)および福島県農業総合センターによる現地ほ場試験(2012~2015年)(合計308点)により得られたものである。
図表1 248988-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/tarc/2021/tarc21_s09.html
カテゴリ 肥料 コスト 施肥

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