タイトル | 水稲追肥管理支援のための簡易生育・収量予測モデル |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2017~2021 |
研究担当者 |
屋比久貴之 浪川茉莉 長谷川利拡 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 本モデルは水稲の窒素吸収と葉面積との強固な関係を基礎とし、少数のパラメータから簡易に水稲の生育・収量を予測できる。将来的には本モデルの一部をリモートセンシングデータによる推定値で代用することで、生育途中の迅速な生育・収量予測が可能となる。 |
キーワード | 水稲、作物生育モデル、収量予測、窒素吸収量 |
背景・ねらい | これまで水稲の生育や収量の予測に関する多様なモデルが開発されているが、それらのモデルの多くは精度を重視するために用いるパラメータの取得や計算に多大な労力を要することから、実用面でハードルが高いという欠点がある。 そこで、本研究では異なる年次、土壌、窒素施肥条件下で栽培した水稲2品種のデータを用い、必要とする外部データおよびパラメータを最小限にし、利用性に優れた簡易生育・収量予測モデルの開発を目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本モデルは稲体の窒素吸収と葉面積との強固な関係を基礎とし、葉面積から受光率を算出後、日射量とその利用効率から生育量を算出する(図1)。モデルの駆動には品種ごとの吸光係数、日射利用効率、収穫指数といったパラメータを必要とする。 2. モデルの基礎となる窒素吸収速度と葉面積増加速度との関係は品種や土壌条件に関わらず同一の関係式で表せる(図2)。 3. 2年間データにおけるパラメータの交差検証の結果、窒素吸収から推定した地上部乾物重は決定係数0.98と高精度な予測が可能であったが、値の増加に伴い2017年で過小、2018年で過大に評価する傾向が見られた。籾収量の予測精度は決定係数0.8以上であったが、精度には地上部乾物重と比較し年度間でばらつきがみられ、原因の一つとして収穫指数の年次変動が考えられる(図3)。 4. 現在は実測値としている窒素吸収量、または葉面積指数をリモートセンシングデータによる推定値で代用することで、生育途中の生育・収量予測を迅速に行うことが可能となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 生育・収量予測に際しては窒素吸収量、または葉面積指数のデータを必要とする。追肥判断を行う上では幼形期前後のデータ収集が望ましい。 2. 本モデルでは扱う品種毎の吸光係数、日射利用効率、収穫指数などのパラメータを必要とする。 3. 日々の日射量データは農研機構メッシュ農業気象データを利用している。 4. 本解析には東北地方における主要品種「あきたこまち」と業務用米品種「ゆみあずさ」を使用している。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/tarc/2021/tarc21_s03.html |
カテゴリ | 水稲 施肥 品種 リモートセンシング |