国内野生種に由来する高度なサトウキビ黒穂病抵抗性を選抜できるDNAマーカー

タイトル 国内野生種に由来する高度なサトウキビ黒穂病抵抗性を選抜できるDNAマーカー
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2018~2020
研究担当者 梅田周
境垣内岳雄
田中穣
樽本祐助
安達克樹
服部太一朗
早野美智子
高橋宙之
田村泰章
森昌昭
木村達郎)
発行年度 2021
要約 飼料用サトウキビ品種「やえのうしえ」の高度な黒穂病抵抗性は、国内野生種「西表8」に由来する寄与率の大きいひとつのQTLに支配され、STSマーカーを用いて選抜できる。
キーワード サトウキビ、黒穂病抵抗性、QTL、DNAマーカー、野生種
背景・ねらい サトウキビ黒穂病は世界中のサトウキビ生産地域で発生が確認されている重要病害であり、抵抗性品種の利用が主要な防除手段となっている。品種育成の際は、苗の準備に3年以上を要する接種試験により黒穂病抵抗性の個体を選抜する必要があり、効率的な選抜を可能とするDNAマーカーの開発が求められている。一方で、サトウキビは高次倍数性を示し(2n=100~130)かつゲノム構造が複雑であるため、DNAマーカーの開発が極めて困難な作物とされており、これまでに黒穂病抵抗性に関する主要な量的遺伝子座(QTL)の報告はない。そのような中で、当グループでは黒穂病抵抗性が極めて強い(高度な)国内野生種「西表8」を見出すとともに、交配利用によって黒穂病抵抗性の飼料用サトウキビ品種「やえのうしえ」を育成した(図1)。そこで、本研究では「やえのうしえ」の高度な黒穂病抵抗性に関する主要なQTLの特定およびDNAマーカーの開発を目指す。
成果の内容・特徴 1. 「やえのうしえ」を種子親、育成系統「KY08-129」を花粉親とするF1集団154系統における発病率は、"極強"判定が半数以上を占めるL字型の分布を示す(図2)。
2. F1集団154系統およびその両親の遺伝子型を用いて構築した連鎖地図は、「やえのうしえ」について117、「KY08-129」について123の連鎖群から構成され、表現型と遺伝子型の比較によるQTL解析が可能となる。
3. 「やえのうしえ」の黒穂病抵抗性は、「やえのうしえ」の第8連鎖群上に検出される寄与率の大きいひとつのQTLに支配される(図3)。
4. QTL近傍マーカー「AMP0007142」の遺伝子型は、「やえのうしえ」とその花粉親である「西表8」の間で一致している一方で、種子親である「NiF8」とは異なることから、「やえのうしえ」の黒穂病抵抗性QTLは「西表8」に由来すると考えられる。
5. この寄与率の大きいQTLによる黒穂病抵抗性は、「AMP0007142」を改良したSTSマーカーを用いたPCRによって選抜できる(図4)。
成果の活用面・留意点 1. 開発したSTSマーカーを用いることで、黒穂病抵抗性を有するサトウキビを簡便かつ迅速に選抜することができる。また、STSマーカーが検出される「西表8」とその後代系統は、製糖用品種をはじめとする育種集団に高度な黒穂病抵抗性を付与する育種素材として活用できる。
2. 本成果情報のSTSマーカーを「西表8」に由来しない集団に対して利用する場合は、有効性の確認が必要である。
3. 本DNAマーカーを用いた育種選抜法は特許出願中のため、育種選抜への利用には許諾が必要である。
4. 連鎖地図を作成する際は、トヨタ自動車(株)が開発したGRAS-Di技術による遺伝子型の取得を行った。
図表1 249024-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/karc/2021/karc21_s04.html
カテゴリ 育種 さとうきび 飼料用作物 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性品種 品種 防除

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