日本産抹茶の香りを特徴付ける香気寄与成分

タイトル 日本産抹茶の香りを特徴付ける香気寄与成分
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2016~2021
研究担当者 水上裕造
発行年度 2021
要約 日本産抹茶の輸出戦略を構築するためには日本産抹茶の香りの特徴を明らかにする必要がある。におい嗅ぎガスクロマトグラフィーとGC-MSで香りを解析したところ、日本産抹茶を特徴付ける香気寄与成分は2-acetyl-1-pyrrolineとfuraneolである。
キーワード 抹茶、香気寄与成分、安定同位体希釈分析、2-acetyl-1-pyrroline、furaneol
背景・ねらい 諸外国における抹茶のニーズの高まりにより、日本産抹茶だけでなく海外産抹茶の生産量は増加している。日本産抹茶の輸出戦略を構築するためには日本産抹茶の香りの特徴について明らかにする必要がある。
そこで、本研究では日本産抹茶と海外産抹茶を入手し、におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)とGC-MSを用いて香気寄与成分を特定し、GC-Oを用いた香気エキス希釈分析の結果を主成分分析することで日本産抹茶を特徴付ける成分を特定する。また、安定同位体希釈分析法によりそれらの香気寄与成分の含有量を明らかにする。
成果の内容・特徴 1. 日本産抹茶および海外産抹茶からジエチルエーテルとジクロロメタンで香りを抽出し、GC-Oで分析すると、計55成分が検出される(表1)。香気エキスをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分画し、各画分をGC-OとGC-MS分析することにより48成分が特定される(表1)。
2. 香気エキス希釈分析によると、(E,Z)-2,6-nonadienal(グリーン、キュウリ様)、3-methylnonane-2,4-dione(グリーン、畳様)、3-mercapto-1-hexanol(果実様)、furaneol(甘い、キャラメル様)、sotolon(スパイシー) が日本産抹茶から最も高いFDファクターで検出され、その香りに強く影響する(表1)。
3. FDファクターの指数を変量とした主成分スコアの散布図(図1(a))および因子負荷量の散布図(図1(b))から、日本産抹茶の香りを特徴付ける香気寄与成分は2-acetyl-1-pyrroline(香ばしい)とfuraneol(甘い)であり、海外産抹茶より多く含有する(図2(a)(b))。
4. 海外産抹茶の香りを特徴付ける香気寄与成分は2-isopropyl-3-methoxypyrazine(アスパラガス様)であり(図1)、日本産抹茶より多く含有する(図2(c))。
5. 抹茶の香りに重要なdimethyl sulfide(青海苔様)とmethyl aldehydes(甘い)は分析の過程で揮発するため、評価できない。そこで、固相マイクロ抽出によりdimethyl sulfideとmethyl aldehydesを分析すると、これらは日本産抹茶に多く含まれる(図2(d、e))。
成果の活用面・留意点 1. 日本産抹茶16点(100g当たり500円から27000円)は2016年および2017年に日本で、海外産抹茶11点(中国産7点、台湾産4点、100g当たり261円から3172円)は2017年にアメリカ合衆国、中国および台湾で入手し、実験に用いた結果である。
2. 香気寄与成分を定量分析するため(図2)、安定同位体希釈分析法を用いる。内標準物質として用いた安定同位体[2H2]-2-acetyl-1-pyrroline、[13C2]-furaneol 、[2H1]-2-isopropyl-3-methoxypyrazineは合成して用いる。
3. FDファクターは香気エキス希釈分析において、においが検出される最大の希釈倍率である。
図表1 249045-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nifts/2021/nifts21_s14.html
カテゴリ アスパラガス きゅうり 抹茶 輸出

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