タイトル | 揉捻処理は乾量基準含水率150~50%における茶葉の乾燥速度を向上する |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 |
研究期間 | 2013~2020 |
研究担当者 |
山田龍太郎 廣野久子 三森孝 中村義和 今村健太郎 山内英樹 鈴木昌文 永井唐九郎 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 従来製茶法では乾量基準含水率100%付近で使用される揉捻処理は、他の含水率においても葉と茎の含水率を均一化する効果をもち、次の乾燥処理において乾燥速度を向上させることができる。 |
キーワード | 製茶、揉捻、乾燥、含水率 |
背景・ねらい | 製茶工程では複数回の乾燥処理を行うが、乾燥処理時に茶葉水分がばらつくと乾燥ムラが発生し、その結果、粉や乾燥不足の茶葉が混在し、品質の低下を引き起こすことがある。しかし、この問題を解決するために新たな機械の開発することは、コストを支払う生産者への負担を考えると困難である。そこで、本研究では、茶葉水分を均一化するために用いられる既存の揉捻機(図1)を、異なる含水率の茶葉に対し複数回利用(表1)し、その効果を検証する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 茶葉は葉と茎で構成されており、含水率は茎が高く葉が低い。茶葉の塊を加圧し茶葉の内部の水分を揉み出す揉捻処理を行うと、揉捻処理後には茎の含水率が減少し、葉の含水率が増加する(表2)。含水率が高い第1揉捻処理では茎の含水率も葉の含水率もともに減少しているが、茎の減少率の方が大きく均一化が進む。 2. 揉捻処理後の各乾燥処理において、試験製茶法は従来製茶法よりも乾燥速度が向上する(表3)。これは茶葉水分の均一化によって乾燥ムラがなくなり、全体が均一に乾燥していることを示す。第3乾燥処理では従来製茶法の方が高くなっているが、これは従来製茶法においても揉捻処理を行った結果と推察される。 3. 乾量基準含水率25%の第5揉捻処理では水分の移動も少なく、第6乾燥処理では乾燥速度の向上は見られなかったことから、乾量基準含水率50%までの茶葉における揉捻処理が有効である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 揉捻処理では分銅による加圧により茶葉新芽内部から水分を絞り出すのではなく、転がし撹拌することで、茶葉水分の均一化を図る。 2. 分銅による加圧や鉢の回転数については、茶葉が破砕しない適切な設定にする必要がある。 3. 乾量基準含水率は、(茶葉に含まれる水分の重量)/(乾物重量)である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nifts/2021/nifts21_s12.html |
カテゴリ | 乾燥 コスト 茶 ばら |