既存の抵抗性を打破する新興ウイルスに抵抗性を持つトマト系統

タイトル 既存の抵抗性を打破する新興ウイルスに抵抗性を持つトマト系統
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2018~2021
研究担当者 石橋和大
石川雅之
加野彰人
発行年度 2021
要約 Tomato brown rugose fruit virus(ToBRFV)は世界で広く使われている既存の抵抗性遺伝子が効かないトマトの新興ウイルスで、世界各地に急拡大している。ゲノム編集法を用いてToBRFVが増殖に利用しているトマトの遺伝子を破壊することにより、強力なToBRFV抵抗性を付与することができる。
キーワード トマト、ウイルス病、トバモウイルス、ゲノム編集、感受性遺伝子
背景・ねらい トマトの栽培においては抵抗性遺伝子Tm-22を導入した品種が広く利用されているが、近年中東で発見されたトバモウイルス属のToBRRVはTm-22を有するトマトにも感染することが可能で、国際的なトマトの安定供給に対する大きな懸念材料となっている。研究チームはこれまでに、TOM1を欠損したシロイヌナズナでトバモウイルスが増殖できなくなることを明らかにしており、本研究ではこの知見に基づきゲノム編集によりトマトのTOM1遺伝子を破壊したToBRFV抵抗性トマトの開発を行う。
成果の内容・特徴 1. トマトのゲノムにはTOM1類似遺伝子が5個存在する。このうち、発現量のきわめて少ない1個を除いた、4個の遺伝子を同時に破壊することにより、トマトに強力なToBRFV抵抗性が付与される(図1)。
2. 4個のTOM1遺伝子が破壊されたトマトは、実験室の環境においては野生型トマトとほぼ同様に生育し(図1)、結果する(図2)。
3. 3個のTOM1類似遺伝子を破壊したトマトでは、どの組み合わせの変異をもつ植物でもToBRFVの増殖は遅延するものの完全には抑制されず発病に至るため、抵抗性付与には4個の遺伝子を破壊する必要がある。
4. tom1 4重変異トマトはToBRFV以外のトバモウイルス(タバコモザイクウイルス、アブラナモザイクウイルス)に対しても抵抗性を示す一方、トバモウイルス以外のウイルス(ジャガイモXウイルス、トマトアスパーミィウイルス)には感受性である。
成果の活用面・留意点 1. 突然変異集団からの選抜など、TOM1遺伝子の破壊にはゲノム編集以外の方法を使うこともできる。
2. ToBRFVはピーマン、トウガラシにも被害を与えているため、ピーマン、トウガラシのToBRFV防除にも本研究の知見が役立つことが期待される。
3. トバモウイルス属のウイルスにはウリ科植物に被害をもたらすスイカ緑班モザイクウイルスなど、抵抗性遺伝子が利用できないものも多い。TOM1遺伝子はわかっている限り全ての植物がもっているため、TOM1遺伝子の破壊によるトバモウイルス抵抗性の付与も様々な植物で有効な可能性がある。
図表1 249069-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nias/2021/nias21_s14.html
カテゴリ あぶらな すいか 抵抗性 抵抗性遺伝子 とうがらし トマト ばれいしょ ピーマン 品種 防除

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