タイトル | ダイズ作における化学的、耕種的防除手段を組み合わせたマルバアメリカアサガオ防除技術 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 植物防疫研究部門 |
研究期間 | 2017~2019 |
研究担当者 |
浅見秀則 橘雅明 本間香貴 |
発行年度 | 2021 |
要約 | ダイズ狭畦栽培において不耕起管理と除草剤の体系処理によりマルバアメリカアサガオを対照区比で最大94%防除できる。フルチアセットメチル乳剤およびベンタゾン液剤の体系処理の防除効果は処理時期によって異なり、ダイズ2葉期および4葉期の体系処理で最も防除効果が高くなる。 |
キーワード | ダイズ狭畦栽培、マルバアメリカアサガオ、フルチアセットメチル乳剤、ベンタゾン液剤、不耕起栽培 |
背景・ねらい | ダイズ作では難防除雑草である帰化アサガオ類の蔓延が問題となっている。中でもマルバアメリカアサガオに対する除草剤の効果は低く、単剤での防除は困難である。近年、ダイズ作での使用が可能な広葉用茎葉処理剤としてフルチアセットメチル乳剤が上市された(北海道を除く)ことで、本州以南では既存のベンタゾン液剤との体系処理が可能になった。しかし、それらの除草剤を活用したマルバアメリカアサガオに対する有効な防除体系については詳細に検討されていない。 そこで、本研究では新規茎葉処理剤であるフルチアセットメチル乳剤とベンタゾン液剤の最適な処理時期を明らかにすると共に、狭畦栽培や不耕起栽培のような耕種的管理がマルバアメリカアサガオの防除に及ぼす影響を解明する。 |
成果の内容・特徴 | 1. マルバアメリカアサガオはダイズ栽培期間に断続的に出芽し、9月上旬まで出芽が認められる(図1)。ダイズ栽培期間中の累積出芽数は不耕起栽培で慣行(耕起栽培)と比較して低くなる。これは、不耕起管理にすることで作土層の土壌硬度が高まり、土中からの出芽数が減少することに因る(データ略)。 2. 秋季のマルバアメリカアサガオの残草量はダイズ2葉期のフルチアセットメチル乳剤と4葉期のベンタゾン液剤の体系処理によって最も少なくなり、対照区比で最大94%防除できる(図2A)。また、不耕起栽培では慣行(耕起栽培)と比較して残草量が少ない(図2B)。 3. 茎葉処理剤の枯殺効果はマルバアメリカアサガオの葉齢が小さいほど高い。そのため、フルチアセットメチル乳剤の3葉期処理では2葉期処理と比較して初発個体の生育が進み、枯殺率が低下する(表1)。また、2葉期と5葉期の体系処理では、2剤目処理時において2葉期処理後に発生した個体(中発個体)の生育が「2葉期+4葉期処理」と比較して進むため、中発個体の枯殺率が低下する傾向がある。 4. 「2葉期+4葉期処理」区のダイズ子実収量は完全除草区と同程度であり(図3)、フルチアセットメチル乳剤の初期薬害に起因するダイズの減収は認められない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本研究で供試した除草剤は、土壌処理剤としてジメテナミドP・リニュロン乳剤、広葉用茎葉処理剤としてフルチアセットメチル乳剤およびベンタゾン液剤、イネ科用茎葉処理剤としてキザロホップエチル水和剤(ダイズ5葉期処理)である。また、供試したダイズ品種は「サチユタカ」で、播種時期は6月20日前後(広島県の標準播種期)である。 2. フルチアセットメチル乳剤はヒロハフウリンホオズキやアレチウリ、ホソアオゲイトウ等に対する防除効果も高く、マルバアメリカアサガオに加えてこれらの雑草種が問題となっている圃場では特に有効な防除体系である。 3. フルチアセットメチル乳剤の使用に際しては、使用する地域やダイズ品種によって薬害が強く生じることが報告されており、使用時には注意が必要である(参考:大豆用新規茎葉処理除草剤 フルチアセットメチル乳剤の雑草種別効果と初期薬害、農研機構2019)。また、イネ科用茎葉処理剤との近接散布(混用処理)によって薬害が助長される可能性も示唆されている。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nipp/2021/nipp21_s11.html |
カテゴリ | あさがお 狭畦栽培 雑草 除草 除草剤 大豆 土壌処理 難防除雑草 播種 品種 不耕起栽培 防除 ホップ |