害虫の飛行パターンをモデル化し3次元位置を予測

タイトル 害虫の飛行パターンをモデル化し3次元位置を予測
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 植物防疫研究部門
研究期間 2020~2021
研究担当者 杉浦綾
中野亮
渋谷和樹
発行年度 2021
要約 害虫の飛翔位置を予測できる方法である。ステレオカメラの画像から飛翔害虫の3次元位置を検出し、その動きをリアルタイムで予測する。予測された位置に高出力レーザーを照射するなど、害虫を駆除する新しい害虫防除システムのコア技術である。
キーワード ハスモンヨトウ、ステレオカメラ、3次元位置、予測、レーザー
背景・ねらい 現在の害虫防除は化学合成殺虫剤が主体であるが、多額の開発コストや長期にわたる開発期間のため新規薬剤の開発数は減少傾向にある。開発した殺虫剤を不適切に使い続けた場合、害虫に薬剤抵抗性が発達する上、自然生態系・生物多様性への悪影響も懸念されている。このように、殺虫剤のみを過度に使用する害虫防除から脱却するための画期的な新規防除技術の開発が急務となっており、その一つとして、レーザー狙撃による物理的防除方法の開発を進めている(図1)。これは飛翔中の害虫を検知・追尾し、レーザー光によって狙撃する技術であり、害虫に抵抗性が発達せず、環境への負荷も少ない。しかしながら、害虫を検知してからレーザーで狙撃するまでの間には0.03秒程度のタイムラグ(処理時間)が生じ、その間にも害虫は移動し続けるため、検知した害虫の位置に向けてレーザーで狙撃しても害虫に命中させることができないという課題がある。これを解決するため、主要害虫であるハスモンヨトウを使用し、検知から0.03秒後の害虫の位置をリアルタイムで予測する技術を開発する。
成果の内容・特徴 1. ハスモンヨトウの飛翔行動を55FPS(フレーム数/秒)のステレオカメラ(Nerian Vision Technologies製SceneScan Pro)で撮影し、3次元飛行軌跡を計測して(図2)、飛行パターンをモデル化する。
2. モデル化した飛行パターンとリアルタイムで計測される害虫の位置を組み合わせることで、0.03秒先の虫の動きを3次元位置で1.4cm程度の精度で予測することが可能となる。
3. 害虫の飛行パターンを再現できるソフトウェアの開発により、害虫の位置予測とレーザー狙撃をシミュレーションできる(図3)。
成果の活用面・留意点 1. 本技術をレーザー照射装置と組み合わせることで、圃場に侵入してきた害虫をピンポイントで狙撃することが可能となる。
2. ハスモンヨトウ以外の害虫についても、同様のプロセスで飛行パターンのモデル化を行うことによって位置予測が可能である。
図表1 249128-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nipp/2021/nipp21_s02.html
カテゴリ 害虫 コスト 抵抗性 防除 薬剤

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