茶の摘採適期を気象データの多数の重回帰モデルから予測するソフトウェア

タイトル 茶の摘採適期を気象データの多数の重回帰モデルから予測するソフトウェア
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 基盤技術研究本部農業情報研究センター
研究期間 2019~2021
研究担当者 曹巍
藤岡宏樹
植山秀紀
下司純也
岡留和伸
発行年度 2021
要約 本ソフトウェアはチャの摘採適期までの期間について、圃場気象データの全組み合わせによる予測モデルを構築して最適なモデルを選択する作業、及び同モデルで新たな気象データから予測する作業をそれぞれ自動で行うものであり、高品質なチャの生産のための摘採適期の予測に有効である。
キーワード チャ、摘採適期、予測、重回帰分析
背景・ねらい チャは生育途中の新芽を摘み取るため、摘採時期によって収量と品質が変化する。一般的に、摘採が早すぎると収量が低下し、摘採に適した時期(摘採適期)を過ぎると品質が低下する。特に、適期から3日以上過ぎると、品質に大きな変化が現れることが知られている。このため、摘採適期を見極めることが重要であり、現状、熟練者による目視や経験知によって予測されることが多い。近年、気象状況が従来と異なる場面も多く、また山間部の茶園の見回りには多大な労力を伴うことから、摘採適期の予測を補助する技術の開発が求められている。
そこで本研究では、データ駆動型の発育予測の手法として、圃場の気象データ(平均気温・最高気温・最低気温・降水量・湿度・等)の萌芽日からの積算値を用い、気象変数の選び方や積算期間を様々に変化させた多数の線形重回帰モデルを作成し、モデルの評価指標(赤池情報量規準)、予報日数、および、誤差範囲から最適なモデルを選択する方法を開発する。
成果の内容・特徴 1. 本手法をPython言語でソフトウェアとして開発した。訓練モジュール、予測モジュールによって構成される(図1)。気象変数の積算値の総当たり法によって、全ての組み合わせの線形モデルを構築し、それらのモデル群の中から、赤池情報量規準などの選択ルールによって予測精度が最も高いモデルを選出する。
2. 萌芽日から摘採適期における10~13年分の圃場気象データ(京都府農林水産技術センター)と萌芽日・摘採日の観察値を用いて作成した最適モデルの予測値(予測した日から摘採適期までの日数)は、3種類の茶の品種において、平均絶対誤差(MAE)が3日以内である(図2)。また、同変数を使ったLeave one out (LOO)法の平均絶対誤差も3日以内である(図2)。
3. 本ソフトウェアで得られた線形重回帰モデルは、これまで使われてきた積算平均気温を予測変量とする線形単回帰モデルより予測精度が高い(線形単回帰モデルの精度は「やぶきた」MAE: 2.48日、LOO: 2.97日;「さやまかおり」MAE: 3.32日、LOO: 3.88日;「おくみどり」MAE: 3.09日、LOO: 3.63日)。
成果の活用面・留意点 1. 本研究で開発したソフトウェアは、過去10年程の萌芽日と摘採日のデータが必要になるが、様々なチャの生産地でフレキシブルに摘採適期の予測モデルを自動構築することができる。また、メッシュ気象データや、気象予報などのデータを取り入れた予測も可能であるため、気象データを測定していない圃場への適用や、気象予報に基づく摘採適期の予測も可能である。
2. 様々な気象変数、積算期間を総当たりで比較する本手法は、品種間差異にも柔軟に対応できると考えられる。
3. 検証結果からは、誤差が3日を超える年も見出された、病虫害、凍霜害、土壌状況などが影響している可能性がある。
図表1 249139-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/kiban/2021/rcait21_s01.html
カテゴリ 病害虫 品種

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