コンブ資源の管理・増殖への生育ポテンシャルマップの活用

タイトル コンブ資源の管理・増殖への生育ポテンシャルマップの活用
担当機関 (国研) 水産研究・教育機構 水産資源研究所 水産資源研究センター
研究期間 2017~2019
研究担当者 伊藤明
鬼塚年弘
長谷川夏樹
発行年度 2021
要約 北海道東部のナガコンブ漁業を持続させるべく、北海道根室管内の地点・年別のコンブの計測データと地形や波浪流速等の空間的な漁場環境情報を統合し、時間・空間解析を実施した。その結果、「生育ポテンシャルマップ」が作成され、コンブの生育の良好~不良などが一目で把握できるようになり、科学的な知見に基づく効率的なコンブの管理・増殖が可能になった。
背景・ねらい コンブ漁は、北海道各地で多くの漁業者が着業し、地域の主要な漁業となっているが、海洋環境の変化に伴うコンブ分布域の縮小や生育不良、高齢化に伴う漁家の減少などにより、近年は漁獲量が減少している。一方、沖合漁業の低迷に伴い、地域経済の基盤産業としてコンブ漁の重要性が高まっている地域もある。ナガコンブは、北海道東部の釧路~根室に分布する葉長10 mを超える大型コンブで、この海域の主要漁獲対象種となっている。北海道東部のナガコンブ漁業を持続させるべく、生育の良好~不良などが一目でわかる「生育ポテンシャルマップ」を作成し、効率的な資源管理や増殖を支える取り組みを行った。
成果の内容・特徴 北海道根室管内の歯舞漁業協同組合と落石漁業協同組合では、数十年にわたって、毎年、多地点でナガコンブの採取と計測が行われてきました。水産研究・教育機構では、そのデータの提供を受けデータベース化したうえで、地形や波浪流速等の空間的な漁場環境情報と統合し、時間・空間解析を実施した。その結果、根室管内歯舞から落石地区の海岸線50 km以上に及ぶナガコンブの生育の良~不良、不適を推定した「生育ポテンシャルマップ」を作成することが出来た。このマップにより、生育が特に良好な「高生育漁場」を特定でき、さらに、このような漁場は、最大傾斜度が大きく底面流速も速い環境にあり、波当たりの強い場所ほどナガコンブの生育が良いことも明らかとなった。生育ポテンシャルが一目で把握できるようになったことで、高生育漁場にも関わらず他の海藻が繁茂している場合には、これらを除去する「雑海藻駆除」を優先的に実施するなどの、科学的な知見に基づく効率的なコンブの管理・増殖が可能になった。
成果の活用面・留意点 生育が良好な要因や阻害要因も推定できることから、雑海藻駆除以外の管理・増殖方法の検討や生育の悪化リスクの予見などへの活用も期待される。また、漁業者・漁業団体が数十年間実施してきた数万件にも及ぶ調査データから生育ポテンシャルマップがされたことで、漁業者・漁業団体の漁場管理に対する意識もさらに高まっている。
図表1 249206-1.png
図表2 249206-2.png
研究内容 https://fra-seika.fra.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=11035&YEAR=2021
カテゴリ データベース

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