寒締め野菜の高品質化シナリオの策定と生産支援システムの開発

課題名 寒締め野菜の高品質化シナリオの策定と生産支援システムの開発
研究機関名 岩手県農業研究センター
研究分担 産地育成
研究期間 継H15~17
年度 2004
摘要 目的:植物体を低温や乾燥などの環境ストレスに遭わせると、甘さが増し、ビタミン類の含量が上昇する。このメカニズムを利用して、低温に当て栄養成分を向上させる「寒締め野菜」の栽培が広まり、特に「寒締めホウレンソウ」は北東北を中心に作付が増えてきている。しかし、普及域の拡大に伴い、糖濃度や栄養成分等にばらつきが大きく、秋冬期の気象の年次変動により供給量も安定しない等の課題が出てきている。本県においても、寒締めホウレンソウ栽培は久慈地域を中心に導入され、年々作付面積は拡大してきており、県内の主要ホウレンソウ産地において導入に向けた取り組みが活発化してきている。そこで、東北農業研究センター、秋田県立大学と共同で、太平洋側の多照・強低温と日本海側の少照・低温との栽培環境の比較に重点を置き、ハウス栽培を前提に、(1)生長の促進・抑制技術の体系化、(2)寒締め期間の気象と栄養成分の関係の定量化等に取り組むこととしており、本県における寒締めホウレンソウの高品質安定生産技術の確立に役立つものと考えられる。なお、他の共同研究機関において、共通に適用できる栄養価の指標の策定、南北の気象の違いを利用した各種品目・品種の寒締め適用性の把握と品目拡大の可能性が検討される。また、これらの研究成果から個々のハウスの気温、生育状況、気象、市況、消費者の反応等を集約し、生産者の栽培管理・製品品質の管理・栽培計画等を支援するシステムが構築されることとなっている。
到達目標:ア 生長調節モデルを構築し、気象条件に応じた管理方法が確立される。
イ 寒締め状態となる環境条件と成分蓄積の関係が解明される。
予定成果(初年目):(1)さまざまな温度条件を作出し、ホウレンソウの生長の仕方を把握する。
(2)温度と日照の関係が体内成分の蓄積に及ぼす影響を把握する。
期待効果:ア 寒締め栽培における生長調節が可能となることで、寒締め野菜の安定した出荷が可能となる。
イ 寒締め野菜の体内栄養成分が指標化されることで、内部品質や栄養価のバラツキが少なくなり、市場の評価が安定し有利販売が可能となる。
成果:(1)外気の低温を利用して各種葉菜のビタミンや機能性成分含有量を増加させることが可能である。また、ホウレンソウやコマツナの成分含有量に対する低温の影響の大きさはビタミンC>β-カロテン=ルテイン>ビタミンEであった(1994 東北農業研究 47,317-318)。
(2)寒締め処理による成分品質の向上は、特に水溶性成分である糖、ビタミンC、及び硝酸について低温伸長性の高い品種で大きく、低温伸長性の低い品種は脂溶性ビタミン類の増加が大きかった。栽培時の温度条件や目的とする品質成分に応じ、品種の選択が必要である(1997 東北農業研究 50,191-192)。
(3)冬期ハウス内で生産するホウレンソウの成分品質は外気低温を利用することによって、シュウ酸を増加させることなく、大きく向上できた。外気低温処理による伸長停止を利用すれば収穫日の調製が可能である(日本土壌肥料学会誌 1995 第66巻 第5号 564-565)。
(4)べたがけ下に地表面に深さ5cm、幅10cm程度の連続した溝を作るべたがけ溝底播種により、冬期無加温ハウスでコマツナが栽培できる(農耕と園芸 1996 12月号 72-75)。
(5)ホウレンソウの後作に吸肥力が強いコマツナを無施肥で栽培することにより、ECを低下させる効果がある(農耕と園芸 1996 12月号 72-75)。
(6)コマツナにおいて10月下旬から11月下旬播種作型では積算温度450~500℃で収穫となった(2002 東北農業研究 55)。
(7)低温順化したキャベツ幼植物において、短時間の温度上昇により耐凍性が低下すること、より高い温度の方が脱順化が進みやすいことが報告されている(1997 園芸学会雑誌 第66号別冊1 356-357)。
研究対象 ホウレンソウ
戦略 園芸
専門 栽培生理
部門 野菜
カテゴリ 肥料 乾燥 機能性成分 キャベツ こまつな 栽培技術 出荷調整 施肥 土壌管理技術 播種 品種 ほうれんそう

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