課題名 | 乳牛の泌乳効率を向上させるためのストレス緩和管理技術の確立 |
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研究機関名 |
岩手県農業研究センター |
研究分担 |
家畜飼養 |
研究期間 | 継H16~18 |
年度 | 2004 |
摘要 | 目的:本県の酪農は、全国平均に比較して頭数規模が小さく、牛の行動を制限する繋ぎ方式での飼養形態が大部分を占めており、また、乳用牛群検定成績でも飼養管理水準がマイナスであることが示されるなど、乳牛が飼養管理によるなんらかのストレスを受け、本来の能力を発揮していないものと推察される。近年、牛のストレスを緩和し、生産性と健康を向上させる「カウコンフォート」の考え方が現場にも導入されてきてはいるが、これらのほとんどは乾物摂取量の増加を主眼としており、泌乳生理に着目した飼養管理技術面の研究は少ない。そこで、泌乳効率を高めることによる酪農場の生産性向上のため、泌乳に関わるストレス緩和技術の確立を目的とし試験を実施する。 到達目標:泌乳生理の特性を活用した搾乳方法等、泌乳効率を高める飼養管理技術を確立する。 予定成果(初年目):・搾乳作業者による牛のハンドリングが泌乳生理に与える影響についての解明 ・泌乳に係るホルモン等の動態の解明 期待効果:牛のストレス緩和により生産性の向上が期待されるとともに、免疫力の向上、乳房炎・周産期病等の疾病発生を予防することにもつながり、ひいては搾乳供用年数の延長が期待される。 成果:・通常1回の搾乳時には1回のオキシトシン分泌があるにすぎない。乳頭刺激後、下垂体後葉に貯蔵されていたオキシトシンの2/3が放出し、一度放出するとその直後に乳頭や乳房を刺激してもオキシトシンの放出は起こらない。オキシトシンの生物学的半減期は約3.6分と短く血中オキシトシン濃度の上昇は4~5分しか持続できない。乳房を刺激しないでティートカップを装着すると搾乳開始後2分間の搾乳速度が低下する。(「乳牛管理の基礎と応用」2002デイリージャパン社) ・泌乳量増効果が最もはっきりしてるのは、甲状腺ホルモンであり、また成長ホルモンの投与も明らかな増乳効果を示す。乳量を明らかに減少させるホルモンとして副腎皮質ホルモンの効果が知られている。(「乳牛の科学」1997農文教) ・典型的な乳牛は各搾乳時に11kgの乳を出すのに5分間を要し、その後4.5kgごとに1分間を必要とする。牛が正しくトレーニングされると、もっと早く乳を出すことができる。重要なことは、正しく牛を刺激する優れた搾乳の手順であり、ユニット装着の前に正しい乳の効果をさせることである。さもないと、牛は搾乳のはじめに過搾乳されることになる。牛は搾乳の最初の2.5分で乳の75%を出し、最後の数分で残り25%を出すにすぎない。(JOHNSON,1999DairyScienceUpdate) ・最初の分娩時に特別(優しい)扱いを受けた牛は、乳汁中のコルチゾルの低下が認められ、その牛は搾乳時にストレスが少ないことを示している。しかし、搾乳中の心拍数は変わらなかった。ハンドリングに対するコルチゾルの反応は、出生後9ヶ月間特別なハンドリングをされた育成牛で低下することが認められた。ミルキングパーラーにおける牛の心拍数は、いつもの搾乳者ではなく、臨時の搾乳者が扱ったとき、そして以前に牛にひどい扱いをした人間がいるとき高くなった。これらの場合、心拍数の増加は乳量の低下を伴った。牛を手荒に扱ったことのある人間が存在する所(その人間は牛に接触しない)で搾乳した場合、残乳量が2倍になった。(J.RUSHEN,2000DairyScienceUpdate) |
研究対象 | 乳用牛 |
戦略 | 畜産 |
専門 | 飼養管理 |
部門 | 牛 |
カテゴリ | 管理技術 飼育技術 シカ 乳牛 |