摘要 |
目的:本県の雑穀生産量(ひえ、あわ、いなきび)は推定220t(栽培面積147ha)とわずかであるが、全国生産量の70%以上を占め、全国一の産地となっている。県内の主な集荷業者の取り扱い金額は1億2,600万円とさほど多くないものの、雑穀といえば岩手の評価が定着しており引き合いが強い。また、最近では、機能性などの付加価値が高く良食味なものに対するニーズが強い。雑穀は農耕文化や食文化とのかかわりが色濃いことから、消費ニーズに沿った販売展開をはかることで、情報発信ソース、他の消費ニーズのキャッチなど宣伝効果も大いに期待できる。本県では、在来種より優良系統の選抜を行い普及に移しているところであり、抗酸化活性などの機能性や炊飯特性についても調査を行ってきた。また、本県の収集系統について、機能性や食味を重視した、消費ニーズに沿った系統の選抜中である。しかし、雑穀といっても、ひえ、あわ、きびではそれぞれに、アミロース含量や、食感が大きく異なっている。よって、本研究ではこれらのことを考慮しながら、品目や、系統の特徴を生かした加工品を開発していく。到達目標:保有系統、収集系統のでんぷんの性質が明らかになる。新形質雑穀の特徴を活かした加工品が開発される。予定成果(初年目):ひえ、あわ、きびの系統ごとのでんぷんの性質成果:(1)ひえ粳種、あわ粳種及び糯種、きび粳種及び糯種の5系統について、優良系統として普及に供した。(平成9年度岩手農研センター県北研究所)(2)ひえ、あわ、きび精白による無機成分及び抗酸化活性の変動を明らかにした。精白により抗酸化活性は減少、ひえ玄穀の抗酸化活性は玄米よりやや低いことが明らかになった(平成14年度岩手農研センター)(3)ヒエ、アワ、イナキビの粳種のアミログラム特性を調査したところ、「ひとめぼれ」に比べて最高粘度及びブレークダウンは半分から3分の1程度であり、粘りが少なく、さめると硬くなりやすい性質であった。炊飯する場合は加水量を重量比での1.3~1.4倍とすることで硬さを改善できる。(平成13年度岩手農研センター)(4)糯きびの餅加工適性を評価するには、きびを製粉し、もち米に混合して生地を作ることにより、もち生地の色、硬さ、粘りなどが評価できる。(平成10年広島県立農業技術センター)(5)雑穀パン、そうめん、ラーメン、こんにゃく、ぽん菓子、レトルト粥等が県内業者から販売されている。
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