摘要 |
目的:本県酪農は、飼養頭数が全国第3位、粗生産額は246億円と県内農業の9%を占め、作目別で第4位の位置にある。しかし、平均飼養規模は全国第39位と小さく、1頭当たり乳量も全国平均を下回って推移している。一方、県内の大規模階層においては、近年100頭規模や法人経営体が増加しており、この経営体は戸数では2%のシェアであるが、頭数で15%を占めるに至っている。こうした背景から、大規模経営体について技術面、経営管理、地域農業との関連等の視点から現状を整理しながら検討し、本県における大規模酪農経営体の成立条件を示す。到達目標:大規模酪農経営体(メガファーム)における経営管理及び技術的成立条件の提示予定成果(初年目):県内における大規模酪農経営体の実態と課題提示期待効果:ア 大規模酪農経営体の現状及び課題が整理され、育成支援に活用される。イ 大規模酪農経営体の、経営管理方策及び技術体系が提示され、経営計画に活用される。ウ 大規模酪農経営体の成立条件が示され、営農計画策定に活用される。成果:(1)ア メガファームは、飼養管理面、経営管理面で優れた点を持ち、多角的事業展開をしており、今後に向けての拡大基調が認められる。イ 技術的に一歩進んだチャレンジがあり、労務管理、現金出納、管理的な職務の分担などに最善を尽くすこと。ウ メガファームの発展は地域貢献を励行し、基本に沿った乳牛管理を怠らぬこと。(清家、畠山酪総研選書「酪農メガファーム」2002)(2)企業型畜産経営が成立する諸条件として、フリーストール体系の展開、農地の流動化、労働力雇用の可能性拡大、企業者意識の高揚、経営支援組織や分業組織の展開に加えて、農業生産法人に対する各種優遇措置が考えられる。(天間「畜産の研究第55巻第3号」2001)(3)ア メガファームは、積極的に新しい技術を導入し、高泌乳牛を飼養している。イ コンピュータを活用し個体の乳量、繁殖、年齢及び病歴などを把握している。ウ 飼料設計や疾病防除など有料のコンサルタントを活用している。(高野畜産の研究第55巻第5号2001)(4)農業専業地帯においては、地域農業の構成員としての調和が課題になるとともに、土地利用型畜産の形骸化に結びつきやすく技術構造的な吟味が必要である。(鵜川農業経営研究第37巻第4号2000)
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