摘要 |
1 目的:家畜の放牧は荒廃農林地や里山等の管理に利用でき、地域の景観保全や農地管理に有効である。また、荒廃した傾斜地の下草刈りは労力と時間がかかり、危険を伴うことが多い。そこで、性質が温順で管理が容易なめん山羊を利用した下草刈り技術について検討する。2 方法(1) 道路法面での下草刈り効果 ア 放牧期間と頭数:2004年7月6日~8月10日(35日間):2頭(コリデール成雌) イ 実施面積:傾斜が30度の法面とその上の平地を組み合わせた遊休地約5a ウ 補助飼料:濃厚飼料50g/頭・日 エ 調査検討項目:飲水量、被度、採食状況(2) 樹園地(クリ園)の下草刈り効果 ア 放牧期間と頭数:2004年7月30日~10月4日(67日間) :2頭(サフォーク成雌)(うち8/11~17までは3頭) イ 実施面積:約50aのクリ園(京都府夜久野町) ウ 補助飼料:濃厚飼料50g/頭・日 エ 調査検討項目:採食状況3 結果の概要(1)法面での植生の変化は放牧当初と比較して白クローバやイネ科野草、ヨモギ等は被度が減少した。それに伴い、35日後には採食と蹄圧により裸地が50%に増加した。(2)電牧を設置する場所が部分的に路肩や埋設物の上のコンクリート等である場合は、構造用角形鋼管と構造用鋼管を用いて当場で作製した「移動式電牧支柱立て」を利用することで、めん羊用の電牧柵を弛ませることなく延長できる。(3)法面でのめん羊放牧は30度の傾斜でも、平地を組み込むことにより、補助飼料給与等の日常管理が容易に行うことができる。(4)暑熱期の成雌めん羊の飲水量は1500ml前後であるが、最大では2500ml(体重のおよそ5%)を越えるため、飲用水は2500ml/頭を用意する必要がある。(5)クリ園において、個体によってはクリの成木でも樹皮を食べたことから、有用植物への被害防止のためには、十分な家畜の観察を行い、個体選抜を行う必要がある。(6)採食可能な草量が豊富な間は、めん羊によるクリの幼木への食害はネット等で防止できるが、草量が著しく減少してきた場合、保護したネットを押し倒したり、下から潜り込んだりしてクリの幼木を採食した。、その後は有害植物をも採食する可能性があると考えられた。4.今後の問題点と次年度以降の計画:継続実施。5.結果の発表、活用等:当センター試験成績書第2号に掲載予定。
|