摘要 |
重要魚種の増殖技術や養殖技術開発のための試験研究を実施した。(1)淡水真珠対策研究:淡水真珠の主要漁場として重要な西の湖で、漁場環境悪化の大きな原因となっている水草の異常繁茂状況のモニタリング調査を実施した。9月の現存量(湿重量)は平均1,809g/m2と依然多く、そのほとんどはオオカナダモであった。また、糸状藻(藍藻)が昨年度の倍の118g/m2に増加した。(2)利用加工対策研究: 1)タテボシの消費拡大を図る上で隘路となっている剥き身工程の省力化のために過熱水蒸気発生装置が利用可能かどうかの検討を行った。180℃・5分間の処理条件で貝柱と貝殻が完全に剥離した剥き身が100%の割合で得られ、沸騰水加熱処理による場合の67%よりも効率が良かった。上記の剥き身を用いて佃煮・かき揚げを試作した食味試験では、過熱水蒸気処理による方が加熱処理に比べて良い評価が得られた。 2)スジエビの利用拡大を図るため、スジエビと大豆と米麹の重量比が、1:3:4の海老味噌を熟成の促進と低塩化を目的に2種類を試作した。試験区の海老味噌は塩分濃度は9%で減塩味噌の範疇に入るもので、対照区の海老味噌と比べて2%低いものとした。食味試験を実施したところ評価の高い販売可能な製品ができたので、西浅井漁協生活改善グループ等へ加工指導を行い、今年度から奥びわ湖水の駅で販売されている。(3)外来魚乾燥粉末の養魚飼料化への検討:捕獲された外来魚の利活用を図る一環として、ブルーギル乾燥粉末の養魚飼料化の可能性について、魚粉の長期保存に伴う酸化の影響を検討した。 1)魚粉の過酸化物価は魚粉化直後のものでは13.9meq/kgであったが魚粉処理後1.5月経過したものでは18.3meq/kg、3月経過したものでは47.0meq/kgと保存期間が長期に及ぶほど高い値となり魚粉の酸化が進行した。 2)ニジマスを6週間飼育し飼料効率を比較すると、魚粉化直後が70%、1.5月経過魚粉が68%、3月経過魚粉が65%となり、長期保存した魚粉ほど効率が悪くなる傾向を示した。
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