課題名 |
果樹の新品種育成 |
研究機関名 |
福島県農業総合センター
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研究分担 |
果樹研究所
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研究期間 |
継H18-22 |
年度 |
2007 |
摘要 |
目的:本県の地域特性を生かし、自然と人間に優しいリンゴ、モモ、ナシ、ブドウ新品種を開発する。、結果:(1)モモの交雑・選抜による育種、(1)1次選抜としてモモ実生154個体を調査し、4個体を現地試作、4個体を注目、18個体を注目候補、61個体を再調査(うち2個体は保存)、67個体を淘汰と評価した。(2)昨年度までの注目系統4系統(「76-12」「80-21」「33-94」「80-5」)と新たに注目とした「84-1」について特性を調査し、「80-21」を注目解除して保存とし、残る4系統を注目とした。「33-94」は黄肉種であり、収穫期が盆直後で品質が安定し有望と認められた。「84-1」「80-5」は「川中島白桃」と同時期であるが、いずれも甘味が強く、無袋栽培が可能であり、「84-1」は樹勢良好、「80-5」は肉質が紛質化しにくい点で「川中島白桃」より有望と思われたが、栽培特性についてもう少し調査が必要である。(3)現地試作系統3系統の特性を調査した。「モモ福島9号」は、成熟日数80日までの早生種としては果実肥大、着色ともに良好で、食味もこの時期の既存品種(「ちよひめ」)以上であることから普及性、商品性で既存品種より優るものと判断された。本系統は「はつひめ」と命名し登録申請した。「モモ福島10号」は、食味は良好であったが核割れが多発した。「モモ福島11号」は甘味であったが、収穫期間と日持ち性の検討が必要である。(4)82-7(「33-81」(「ゆうぞら」×「ちよひめ」)×「ちよひめ」)を「モモ福島12号」として現地試作に移行することとした。本系統は独特の肉質と甘味が強いのが特徴で、「あかつき」より収穫期が7日遅い。(5)モモ糖度の変動要因について検討した。果重で抽出された10果の糖度の分散に対する遺伝子型、収穫期、降水量の寄与度は小さいものと推察された。また糖度は収穫前14日~20日の降水量により低下し、R2(決定係数)は39.2~45.6%であった。、(2)リンゴの交雑・選抜による育種、(1)1次選抜としてリンゴ実生17組合せ60個体について調査を行い、5個体を注目(新規注目は3個体)、39個体を再調査、4個体を淘汰、12個体を保存と評価した。(2)注目系統2系統の特性を調査し、1系統を注目解除して保存系統とした。(3)現地試作系統2系統の特性を調査した。「リンゴ福島3号」の果実品質は、外観は例年と同様であったが、果実肥大は36玉中心でやや小玉であった。心カビの発生は本年度も多く所内の平均で77.4%の発生であった。官能検査では、外観は対照「千秋」よりやや勝るものの、香りや食味が対照より劣ること、心カビの発生が多く、また、品種登録に対する期待度が低いことから本年度で現地試作を中止することとした。「リンゴ福島5号」は、開花時期は「ふじ」とほぼ同時期であり、果形は「陽光」に比較し腰高だった。JM7台で大果となった。着色は下枝を除き良好で果実は甘味系で芳香があり、食味良好であった。官能検査では、形・果肉の硬さは対照とした「陽光」よりやや劣るものの、総合的な外観・香り・食味が対照より勝っており、商品性・普及性も期待できることから品種登録申請が妥当と判定された。、(3)ナシの交雑・選抜による育種、(1)第2期交雑の20系統の実生308個体について果実品質調査を行い、品質が良く、かつ糖度と収穫期を考慮し、注目系統2個体と、場内への高接ぎ候補6個体を選抜した。(2)注目系統「8-207」(赤ナシ)について、原木または高接ぎにより、果実の肥大調査および特性調査を行った。果実品質は、糖度が高く、酸はほとんどなく、食味良好であった。条溝果が見られたが、品種特性によるものか、栽培条件によるものかの検討が必要であるため、引き続き調査を行うこととした。(3)現地試作系統「ナシ福島3号」の特性を調査した。今年度は、霜害による被害が甚大であったため、結実不良となり、収穫量は前年の1/3となった。この結果、樹勢が強くなり、不定芽新梢の発生が多く見られた。予備枝新梢は平均114.7cmであり、花芽分化率は57.0%であった。収穫時期は「幸水」と「豊水」の間と推察された。、(4)ブドウの交雑・選抜による育種、 赤系の無核品種と肉質の改善を目的として3組合せで交雑を行った。採種した種子は大半が胚及び胚乳が退化していた。胚培養により「安芸クイーン」×「あづましずく」2個体が培地上で発芽し、うち1個体は発根し本葉が展葉した。、
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